老後資金は本当に3000万円必要なのか?計算方法を考えてみた

「老後資金はいくら必要か?」
「老後資金は3,000万円必要」
「いや老後資金は1億円必要」

この手の議論は、いつになっても終わることはなく、永遠に続くことになるのでしょう。

なぜなら、どうしても具体的な金額、"答え"を知りたがる人が圧倒的に多いからです。

あたかも自分で考えることを放棄しているかのようです。

正解は「人によって異なる」はずなのにです。

本来であれば、前提条件が人それぞれ異なるわけですから、その答えも人それぞれ。

老後資金は3,000万円で済む人もいれば、1億円でも足りない人だっています。

人によるんです。

だからこそ、自分の老後資金がいくら必要なのかは自分で計算しなければいけません。

そこで今回は、簡単な方法でざっくりと老後資金がいくら必要かを計算する方法を考えてみました。

実際に自分はいくら老後資金が必要なのか計算してみましょう。
 

老後資金の計算要素その1 寿命

老後資金を考える上で、実は最も重要な要素の一つになるのが寿命です。

人生100歳時代と言われはじめ、現在の平均寿命よりさらに長くなることが予想されています。

現在の男性の平均寿命は81歳、女性は87歳となっていますが、現在の平均寿命より長生きするこも十分考えられます。

80歳までの老後資金と100歳までの老後資金とでは20年もの差がありますから、必要となるお金も大きく開きが出てきます。

こればかりは自分で決めることができるものではなく、運命に左右されることになります。

ただ、老後に対する備えという点においては、この時代の流れの中で80歳までで計算してしまうのは無謀と言わざるを得ません。

90歳から100歳までは計算しておいて方が得策です。

僕の場合、念のため100歳まで生きると仮定して計算するようにしています。

いざ本当に長生きしたとき、お金が無いのは悲劇です。
 
 

老後資金の計算要素その2 生活費

要は支出です。

1ヶ月にいくら使うのか?

支出が多ければ多いほど老後資金は多く必要になりますし、少なければ少ないほど老後資金は少なくなります。

ある一定年齢に達してから支出のサイズダウンを勧められるのは、老後の支出を減らせば老後資金が少なくて済むからです。

今の支出から自分の老後の1ヶ月の生活費がどれくらいになるのかをあらかじめ予想しておきましょう。

そうすれば、老後資金がいくら必要になるのか、計算が容易になります。
 
 

老後資金の計算要素その3 年金受給予定額

老後の収入の中心となるのは、やはり年金です。

究極的に言えば、受け取る年金の範囲内で生活できるのであれば、老後資金を貯める必要などありません。

ただ、年金は将来もらうことができるのかどうか、正直言って分かりません。

個人的な予想としては、支給額が減りながら、また支給時期が遅れながら制度自体は保たれると見ています。

年金制度には維持してもらいたいという希望的観測も含まれています。

しかし実際のところ、20年後どうなるかは本当に分からないのが正直なところです。

そこで利用したいのが、「ねんきんネット」です。

日本年金機構の公式サイトで、自分がこれまで支払った年金額や将来受け取る予定の年金額などを確認することができます。

老後資金を計算するには必須のサイトです。

まだ見たことがない人は絶対にチェックすべきです。

ただし、年金受取予定額については注意が必要です。

あくまで表示される金額は現時点での計算の話であり、将来的にはおそらく減るということを覚悟しておくべきだからです。

ですから、現時点での金額を鵜呑みにせず、何割か減るものとして計算しておいた方がよいと思われます。

僕個人が計算するときには、半分まで減るものと想定して計算するようにしています。

もし年金制度が破綻したら、必要となる老後資金が一気に大きくなるため、ものすごく大変なことになることを理解しておく必要があります。

今まで納めた年金は返してもらえるのかしら?

いや、絶対に返ってこないでしょう。
 
 

老後資金の計算方法を考えてみた

それでは実際に老後資金がいくら必要なのか、計算をしてみましょう。

この3つの要素だけで、簡単に算出することが可能です。

ここでは、あえて年金支給開始が65歳からのままでいくと仮定して計算してみます。

あと、寿命は100歳まで生きる、つまり年金の支給開始から35年生きると仮定します。

老後資金=(1ヶ月の支出×12×35年)-(退職金)-(1ヶ月の年金受給額×12×35年)

たったこれだけです。

例えば、夫婦2人暮らしの家庭で、単純計算をしてみます。

寿命:100歳(35年)
1ヶ月の支出:25万円
退職金:500万円
年金受給予定額:13.5万円

(25万円×12×35年)-(500万円)-(13.5万円×12×35年)
=1億500万円-500万円-5,670万円
=4,670万円

上記のような例であれば、老後資金として4,670万円必要ということになります。

金融資産を3,000万円以上保有する世帯は、全世帯中の20%程度ですし、5,000万円以上ともなると10%程度になりますから、4,670万円というのはなかなかのハードルの高さです。

とりあえず、まずは単純なモデルで老後資金を計算してみました。

たったこれだけですから、誰でもいろいろなパターンを想定しながら老後資金を計算できるはずです。
 
  

老後資金の計算要素その他

上記した計算方法は、あくまでもこの計算方法はざっくりとした老後資金の計算方法であり、より正確性を求めるのであれば、もっと情報が必要となります。

ここからは、老後資金の計算の正確性をより高めるプラスアルファの要素について考えます。
 

1.保有している金融資産

老後資金を貯めるという行為において、気をつけなければいけないのは、老後資金がいくら必要かという視点だけではありません。

必要な視点は、残りの人生で老後資金を貯めることができるかどうかという視点です。

老後資金が3,000万円必要な人が、55歳時点ですでに2,000万円保有していれば、あとは退職金の金額次第で十分3,000万円貯めることができます。

一方、55歳時点でまだ500万円しか持っていないとなれば、退職金が500万円だと、あと10年で2,000万円貯めなければいけないことになります。

1年平均200万円ですから、普通の人にはなかなか大変な作業となります。

「いくら貯めればいいのか」という理想を見るのもいいですが、「いくら貯められるのか」という現実を知ることも大事です。
 

2.ローン・借金

いくらお金を貯めようと思っても、その足かせになるものも存在ます。

その最たるものがローン・借金です。

老後資金を貯める以前の問題で、まずは返済を終える必要があります。

もしローン・借金があるのであれば、例えば65歳時点で返済がどうなっているのかも計算に入れておかなければいけません。
 

3.親の遺産

現在、親が健在だという人であれば、親の資産を相続する可能性があります。

親の資産がまったくのゼロ円ということはあり得ないでしょう。

場合によっては、プラスではなくマイナスの資産を相続する可能性だってありえます。

また、土地・建物を相続すれば、その後は固定資産税の支払いが発生します。

親とお金に関する話はあらかじめちゃんとしておいた方がよいです。

僕も年末年始に帰省したときには、そろそろきちんと話さないといけないです。
 

4.住居の修繕費・家電の買い替え

老後に気をつけたい大きめの支出が、住居の修繕費と家電の買い替えです。

同じ家に40年住み続ければ、家のどこかにガタが来るはずです。

同じ家電を数年使い続ければ、どこかしら故障することがあるでしょう。

スマートフォンを使い続けるなら、2年ごとに買い替えが発生したりします。

これは予想しづらいお金ではありますが、家電であれば、少なくとも1回はすべての家電を買い替えるくらいの予想を立てておいても悪くないでしょう。

住居の修繕費も数十万から下手したら100万円以上かかる可能性もあります。

こちらも一定額を見込んでおくとよいでしょう。
 

5.医療費

現役時代に比べ、多くのお金がかかるかもしれないのが医療費です。

さすがにずっと健康でいられるわけではありません。

大小の差はあれど、何かしらの病気になって病院に行かざるを得ないことが徐々に出てくるはずです。

これも予想できないことですが、一説には1人で100万円から150万円とも言われています。

ということは、夫婦2人なら200万円から300万円かかるということです。
 

6.介護費

寿命が延びれば、最後まで自分一人で生活し続けることは難しくなるでしょう。

となれば、老後の最後の大きな支出として、介護費は外せない費目になります。

1人あたりの平均の介護費でも500万円以上かかると言われています。

有料老人ホームのような民間施設に頼ることになれば、1,000万円くらいになることも覚悟しなければなりません。

どのような介護を自分が希望するかの応じて、用意しておくべき金額も変わります。

1人500万円で抑えたとしても、夫婦2人で1,000万円かかります。

どの施設で行うか、そして介護にかかる期間によってはさらにお金がかかります。

これも本当に予想もできないことだとは思いますが、老後資金にプラスして計算しておいた方がよいでしょう。
 

まとめ

以上、「老後資金は本当に3000万円必要なのか?計算方法を考えてみた」はいかがでしたでしょうか?

老後資金は3,000万円で足りるか足りないかは、その人次第。

特に支出が少なければ、少なくて済むかもしれません。

しかし、平均寿命が80歳だった時代は3,000万円でよかったかもしれませんが、さらに20年長生きして100歳まで生きるとなれば、必要なお金は2倍の6,000万円になる可能性もあります。

ネットをはじめとする周囲の情報に振り回されるのではなく、自分の頭でしっかり考え、行動することが重要です。

老後資金の計算をきちんとやれば、実は定年退職まで無理して働く必要がないことにも気づく人が出てくるかもしれません。

そうなれば、今度はリタイア生活のことを考えてみませんか?

老後のことばかりを考えると暗くなってしまいがちですが、早期リタイアとなればもっと前向きな気持ちになるでしょう。