サイドFIRE(セミリタイア)を目指すにあたり考慮すべきリスク7選

どうも。『毎日が祝日。』いわいです。
FIREというライフスタイルが日本でも知られるようになったのは2019年頃からでしょうか。
自由を手に入れようとする生き方は20代・30代の若者を中心に支持を集め、目指す人が増加していったように思います。
しかし、フルFIREは投資のみに依存する生き方のため、必要となる資金も多額になります。
そこで考えられたのがサイドFIREで、フルタイム労働よりも軽度な負担で働きながら資産運用の収入と合わせて生活していくライフスタイルです。
しかし、サイドFIREを目指したとして、それを実現させ、そして長きに渡り継続するにはいくつものリスクがあります。
今回はサイドFIRE(セミリタイア)に潜むリスクを洗い出し、安易な退職せず、慎重に準備を進め、サイドFIREを成功させるための秘訣を考えていきたいと思います。
早期リタイア志向をお持ちの方はぜひ参考にしてください。
「FIRE達成」について物申す
サイドFIRE(セミリタイア)のリスクについて語る前に、どうしても個人的に言いたいことがあるので、まずは一言物申させてください。
「FIRE達成」とはどういう意味でしょうか?
世の中では、「資産〇〇万円になって、FIREを達成しました~!」みたいな使われ方をしているように思います。
要するに「資産目標を達成して会社を辞めたこと=FIRE達成」となっています。
しかし、私は違和感しか覚えません。
なぜなら、FIRE生活は会社を辞めてから始まるわけで、まだ何も成し遂げてはいないからです。
あくまで資産目標に到達しただけであり、スタートラインに立っただけです。
それなのに、あたかもゴールに到達したかのような表現には違和感しかありません。
FIRE生活を始めれば、数々の難局にぶち当たることでしょう。
それらをすべて乗り越えてこそです。
そして、会社を辞めてから再就職することなく人生を締めくくったのであれば「FIRE達成」と認めてよいのではないでしょうか。
1.希望する仕事の有無
サイドFIRE(セミリタイア)を目指すにあたり考慮すべきリスクまず1つ目は「希望する仕事の有無」です。
会社を辞めることの最大のリスクは正社員としての高収入を手放すことです。
退職後に資産運用の収入のみではなく一定の労働収入を得ようとするのがサイドFIREになります。
しかし、理論と現実は異なります。
私の場合、地元に帰って早期リタイア生活を送る予定です。
ということは、自分の希望するような条件に合致する仕事が見つかるかどうかという問題が生じます。
以前アルバイトを調べてみましたが、飲食、接客、介護、コールセンターばかりでした。
それから50代半ば過ぎのおじさんを採用してくれるような職場があるのかどうか。
そして、こちらが希望するような週2~3日程度で軽く働かせてもらえるかどうか。
週4日も働くことになれば、もはや早期リタイアした意味も薄れてきます。
そもそも「働きたくない」という気持ちが強くて早期リタイアするのに、結局働くことに耐えられるかどうか。
アルバイトとはいえモチベーションを持って働けるか疑問を抱かざるを得ません。
ここまで考えると、フルFIREを選択しなければならないのかもしれません。
フルFIREなら収入の減少がダイレクト影響しますから、より慎重な判断をしなければなりません。
2.株価と為替の変動
サイドFIRE(セミリタイア)を目指すにあたり考慮すべき2つ目のリスクは「株価と為替の変動」です。
FIREは基本的に収入を資産運用に頼るライフスタイルです。
しかし残念ながら、株価は永遠に右肩上がりで上昇するものではなく、時に下落し、時に暴落します。
最近では、4月にトランプ関税導入による「トランプショック」が起こりました。
久しぶりの大きな下落だったため、FIRE民はさぞかしビビったことと思われます。
この手の大幅下落はたまに起こりますし、暴落も10年に1度くらいの確率で起こります。
また、為替のリスクも忘れてはいけません。
私はS&P500とオルカン、VYMとVTIということで米国株がほとんどの投資先となっています。
そのため、円高ドル安はリスクとして無視できません。
時に株価の変動以上に資産の増減に影響を与える可能性があります。
この株価と為替の変動リスクをできるだけ小さく抑えるために、労働収入を得ておこうと考えたわけです。
しかし、適した仕事があるかという問題が発覚し、非常に悩ましい状況となっているのです。
3.物価の上昇
サイドFIRE(セミリタイア)を目指すにあたり考慮すべき3つ目のリスクは「物価の上昇」です。
これからの時代は物価が上昇し続けることを前提に計画を策定しなければいけません。
単純に考えると支出は毎年増加し続けることになります。
個人の努力では如何ともしがたいところです。
私の場合、毎年2パーセントずつ支出が増加し続ける計算をしています。
しかし、もっと高い上昇率になるかもしれません。
そのあたりは神のみぞ知る領域ですが、とにかく物価が上がることはほぼ間違いないでしょう。
また、注意すべきは物価だけではありません。
支出という括りで考えると、消費税の増税や年金保険料、健康保険料といった税金や社会保険の負担も大きくなる可能性があります。
支出は毎年増え続ける前提で計算しておかないと、後々大問題を引き起こすと警戒しています。
4.年金問題
サイドFIRE(セミリタイア)を目指すにあたり考慮すべき4つ目のリスクは「年金問題」です。
年金は老後の生活を支えてくれる貴重な収入です。
特にFIRE後となれば、一度労働収入を大きく減らしているわけですから、非常に貴重な収入源となります。
しかし、年金も万全とは言い難いのが実情です。
減額の可能性は常にあるでしょうし、今後は受給開始年齢が引き上げられるかもしれません。
繰下げ受給を選択すれば受給額を増やせますが、年金の受給開始が遅れます。
そもそも早期リタイアするということは、将来受給する年金額が減ることを受け入れるようなものです。
将来のプランニングにおいて、年金がいくらになるのかを「ねんきんネット」でシミュレーションしておくことは必須です。
その上で、年金制度がどのように変更されるかを見守るしかないと考えています。
5.社会的孤立
サイドFIRE(セミリタイア)を目指すにあたり考慮すべき5つ目のリスクは「社会的孤立」です。
少し前に「FIRE卒業」が話題になった時期がありました。
FIREしたものの、やりがいがなく結局会社に再就職した人たちが一定数いたようです。
「会社を辞める」という大目標に対し、お金のことばかり意識しすぎて、実際にFIREしてからの生活がはっきりイメージできていない人が多いような気がします。
週休二日で生活から週休七日になると、一週間の過ごし方がどう変わるのかをよく考えてみるとよいでしょう。
会社を辞めて自由になった開放感に浸れるのは最初だけ。
おそらく相当暇になると思います。
一人暮らしの場合、誰とも会話をしない日が生じることも珍しくなくなるのではないでしょうか。
そして、次第にFIRE後の生き方に疑問を抱き、誰にも貢献していない自分自身の社会的な存在意義を問うことになるかもしれません。
「自分はいなくてもよいのでは?」という疑念を抱く恐れがあり、そうなると何かしらの形で働きに出る可能性が高まるでしょう。
そうならないためにも現役時代から会社以外のコミュニティに属し、人間関係を構築しておくとよいかもしれません。
また、老後まで見据えた場合、単身世帯である私は「身元保証人問題」も要注意となります。
老人ホームの入居や病院の入院時には保証人が必要です。
高齢者が身元保証人を頼む場合、親族や友人に頼むのが一般的ですので、私の場合は弟に頼むと思います。
ただ、弟に何かあった場合は親戚に頼むのでしょうが、そこまで付き合いの多くない親戚には頼みづらいところがあります。
身の回りの世話を頼める人がいない場合は、身元保証サービスに頼らないと行けない可能性があります。
身元保証サービスは初期費用だけで100万円くらいかかる場合もありますから、利用する想定なら事前調査と資金の用意をしておく必要があります。
6.住宅問題
サイドFIRE(セミリタイア)を目指すにあたり考慮すべき6つ目のリスクは「住宅問題」です。
人生のおける最も大きな支出が家になる人は多いはずです。
私も「住宅問題」が最大の難所と考えています。
個々に解決策はあると思いますが、私の場合は3パターンを想定しています。
大前提は賃貸ではなく持ち家です。
まず一つ目は実家を相続することです。
一番現実的な反面、ド田舎の築50年の木造家屋のため、もはや老後の長期に渡る居住には不向きです。
二つ目は、叔母の家を相続することです。
実家よりも若干新しく、場所も県庁所在地の中心部に近づきます。
また、数年後に大型ショッピングセンターの開業も決定しており、生活する上ではかなり便利になる可能性があります。
ただし、相続人は私以外にもいるため、確実に相続できる保証はありません。
三つ目は中古のマンションか戸建てを購入することです。
できれば主要駅の近くか買い物に便利な場所での住宅購入を検討しています。
地方ですから、上手くいけば1000万円にも満たない金額で購入可能です。
また、資産は十分あるため、住宅ローンを組む必要はなく、一括払いで対応できます。
なお、住宅問題については、家電の修理・買い替えや住まいの修繕リスクも含まれます。
7.自分の健康
サイドFIRE(セミリタイア)を目指すにあたり考慮すべき7つ目のリスクは「自分の健康」です。
FIRE後の生活を支えるのは、お金だけではありません。
自分の健康な体があってこそFIRE後も生活していけます。
しかし、会社に行かなくなるだけで運動量が相当落ちるように思います。
私の場合、自宅・会社間の往復で1日合計8千歩ほど歩いています。
こういう小さな運動さえなくなりますから、意識して体を動かすようにしないと一気に衰えていくような気がします。
すでにコロナ禍を経て運動量が減少し、足腰が弱っている感じがします。
加えて年齢も50代半ば以降に差し掛かってくる時期ですから、衰えがより顕著になっていくのではないかと危機意識を持っています。
そして、老後になれば医療費も増加し、介護問題も生じてきます。
よって、老後の介護まで含めて資産を維持できるかどうか計算しておかなければいけません。
FIREを目指す人が考えるべきこと
最後にFIREを目指す人が考えるべきことについて、私個人の意見をまとめておきます。
やはり大事なのは「何のためにFIREするのか?」だと思っています。
FIREは「目的」ではなく「手段」です。
会社を辞め、収入を手放してまで「やりたいこと」は一体何か?
ただ単に「会社を辞めたい」だけだと、特に人生の残り時間が多い若い人たちは、暇を持て余すことに苦労すると思います。
私の場合、先送りしてきた楽しみにお金と時間を使うという目的がまだ朧げながら見えてきました。
それに50歳を過ぎて、さすがに仕事には疲れましたから、心と体を休めたいという本音もあります。
よほどのことがない限り、フルタイム労働に戻りたいとは思わないはずです。
明確にやりたいことは無いですが、とにかく「のんびりしたい」という一言に尽きます。
私より若く早期リタイアを目指す人が考慮すべきリスク
私は50代半ばでの早期リタイアですから、いわば「引退」のようなものです。
私よりも若い40代やもっと若い30代で早期リタイアしたい人は、もう一つ考慮すべきリスクがあると思っています。
それは「自分の意識の変化」です。
何かしらの目的があって早期リタイアしたとします。
しかし、人間は時間が経過すれば人生の目的や重きを置くものなどが変わっていきます。
変化が生じたとき、会社を辞めて収入の途絶えた状態で対応可能なのでしょうか?
例えば、FIRE後の限られた予算の中での生活に嫌気が差したらどうするのでしょうか?
新しい人生の目標ができたら?
未来永劫変わらない人などいません。
本当の意味でFIREを達成するための最大のリスクは、実は自分の中にあるのです。
まとめ
以上『サイドFIRE(セミリタイア)を目指すにあたり考慮すべきリスク7選』でした。
いかがでしたか?
最後にまとめです。
1.希望する仕事の有無
2.株価と為替の変動
3.物価の上昇
4.年金問題
5.社会的孤立
6.住宅問題
7.自分の健康
FIREは達成してからが本当の始まりです。
FIRE後には実に様々なリスクを乗り越えていかなければなりません。
会社を辞めて自由を謳歌できる一方で、失うものも大きいです。
「仕事を辞めたい」だけではFIRE後の残りの人生が暇になりすぎ、乗り切るのは難しいかもしれません。
FIREして何をしたいのか、どのような人生を描いているか、よく考えてFIREするかどうかを慎重に判断したほうがよいと考えています。
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