おひとりさまの老後はどうなるのか?老後資金と生活費、孤独、住まいについて
今日は、先日紹介したこちらの本から。
これからの日本が人口減少の道をたどっていくというのは、すでに多くの人がご存知のことでしょう。
ただ、人口が減少することにより、どのような未来が待ち受けているのかを理解していた人は少なかったはずです。
日本の未来を時系列に沿って明確にした画期的な書物です。
しかし、そこに書かれていたのは、決して明るいとは言えない未来でした。
今回は、僕のような独身、「おひとりさま」にスポットを当てて、おひとりさまに待ち受けている未来を探っていきます。
そして、自分でどのような対策を立てておかなければならないかと考えていきます。
2022年、おひとりさま社会の本格化
現在の日本では、人口が減少しているにもかかわらず、世帯数は増加しています。
その理由がひとり暮らし世帯の増加です。
これまでの日本の標準的な家族形態のイメージは「夫婦に子ども2人」でしたが、すっかり様変わりしているのが実態です。
ひとり暮らし世帯が国勢調査でトップに躍り出たのは、2010年のこと。
2015年の国勢調査では、ひとり暮らし世帯は34.6%にまで増加しています。
今や3世帯に1世帯はひとり暮らしなのです。
なぜ「おひとりさま」は増加したのか?
ひとり暮らし世帯が増加した理由は、以下の3つです。
1.子どもと同居しない高齢者の増加
2.未婚者の増加
3.離婚の増加
1つめの子どもと同居しない高齢者の増加については、高齢者を責めるわけにもいかないでしょう。
子どもは進学や就職、結婚などを機に独立していき、実家を離れていきます。
特に僕のように地方在住者が都心部や都市部へ移動することは、今の日本においては自然なことと言うこともできます。
そして、高齢夫婦のみの家庭になり、その後一方が他界し、ひとり暮らしになるという図式です。
2015年の国勢調査で、65歳以上の17.7%にあたる592万8000人がひとり暮らしであることが分かっています。
また、女性の方が寿命が長いため、女性のひとり暮らしの方が多く、65歳以上女性の5人に1人がひとり暮らしになっています。
2つめの理由は、未婚者の増加です。
50歳までに一度も結婚したことのない人の割合を表す生涯未婚率は、2015年には男性23.4%、女性14.1%に及んでいます。
人生において結婚しないという選択をしている人、ないし結婚できない人が増加しているのです。
3つめの理由は、離婚の増加です。
2016年の婚姻件数は62万組なのに対し、離婚件数が21万件にものぼっています。
数字だけ見ると3組に1組が離婚している計算となります。
これらの3つの理由から、今後の日本ではひとり暮らし世帯、おひとりさまが増加し続けることは間違いありません。
つまり、今後の日本では、もはや家族という概念が崩れ、ひとり暮らしがスタンダードになる可能性すらあるのです。
おひとりさまの老後
これだけひとり暮らしが増えてくると、心配になるのは自らの老後ということになるでしょう。
実際、すでに多くのひとり暮らし高齢者が存在していますし、もしかしたら自分の身近にもいるという人もいるのではないでしょうか。
高齢者でひとり暮らしとなると、身の回りの不自由さ孤立することが懸念されます。
また、要介護状態に陥ったり、病気で動けなくなったとしても、面倒を見てくれる親族が身近にいるとは限りません。
さらに、地方在住ともなれば、自動車でなければ行けないような場所にスーパーがあったりするため、買い物難民になる可能性があります。
それこそ死活問題です。
ちなみに、僕の例でいえば、母方の祖父がひとり暮らしに陥った後、認知症を発症しました。
そのため長男にあたる僕の叔父が引き取り、施設に入れることとなりました。
ひとり暮らしで認知症を発症してしまえば、想像することもできないほど悲惨です。
おひとりさまの老後資金と生活費
おひとりさまの老後資金は、大きく2つにわけて考えることができます。
1つは貯金、もう1つは年金です。
貯金は老後に働くことができなくなった際の最後の命綱となります。
一般的に「老後資金は3000万円」と言われますが、実際のところはその人によります。
特に女性の場合、男性よりも平均寿命が短いにもかかわらず、生涯賃金は少ない傾向にあるため、老後資金には現役時代から気を配っておきたいところです。
また、受け取ることのできる年金がいくらになるかも計算しておく必要があります。
受け取ることのできる年金がいくらになるかは、ねんきんネットで調べることが可能です。
ただし、将来の年金額は減る可能性が極めて高いです。
現時点での受給額はもらえないものとして、老後資金を貯めておきましょう。
年金で不足する金額を貯金から取り崩すことになります。
ですから、生活費をできるだけミニマムに抑えられるようにしておいたほうがいいです。
そのためにも、現役時代のうちに断捨離を進めておき、生活費を極力少なくて済ませることができるようにしておきましょう。
最後の手段は、65歳以上になっても働き続け、収入を得ていくことです。
ただ、これは可能であれば避けたいところです。
体力的な厳しさも出てくるでしょう。
おひとりさまの孤独
おひとりさまの老後にとって、怖いのは孤独です。
経済的な貧困以上に、人間関係の貧困、つまり孤独は人間を精神的に追い詰めます。
地方から都市部に出てきた人だと、家族・親族が身近にいないこともそうですが、現在住んでいる地域にも知っている人がいない可能性があります。
住んでいる物件によっては、隣近所の名前も顔も知らないということは、もはや珍しいことではないのではないでしょうか。
また、特に男性の場合、ずっと仕事中心で生きてきて、急に地域社会に溶け込もうとしても、なかなか難しかったりします。
よって、会社以外での交友関係を増やしておくことに越したことはありません。
しかし、ひとりでいられるということは、孤独や寂しいというより、気楽というふうにとらえることもできます。
ひとりの時間をいかに楽しむかを考えてみる方が前向きに生きていくことができます。
気持ちの持ち方次第で、孤独は乗り越えられるはずです。
おひとりさまの住まい
おひとりさまの住まいは、賃貸か持ち家か、どちらがよいのか。
これも人によります。
持ち家ならば、絶対的な条件は、老後を迎えるまでに住宅ローンの支払いを終えておくことです。
あとは、かかるコストは固定資産税や修繕費くらいになるでしょう。
賃貸は、好きなように住み替えが可能で気楽ですが、家賃をずっと支払い続ける点がネックになります。
老後資金がどれだけ残っているかによって、部屋のグレードを下げていかざるを得なくなる可能性もありますし、最悪高齢者は部屋を貸してもらえないということも想定しておかなければならないでしょう。
裏技としては、両親の実家を相続することで、持ち家購入の費用を抑えることができます。
ただし、兄弟がいれば、確実に自分が相続できるとは限りません。
また、家が老朽化した際のリフォーム費用などがかかってくることになります。
あとは、どの形態であっても言えることは、老後にひとりで暮らす中で、不便にならないような環境を選ぶことです。
まとめ
以上いかがでしたでしょうか?
おひとりさまの老後について、何か思うところはありましたか?
これからの日本が向かっている未来は、今回書いたような内容であることに間違いありません。
国や自治体の対策は追いついておらず、自衛するしかないのが実情です。
では、我々にできることは何か?
その一つが老後資金を貯めること。
すなわち貯金なのです。
今からでも遅くはありません。
悲惨な老後を回避するためにも、貯金を始めてみてはいかでしょうか。