労災に増える高齢者 70歳まで働き続けることは可能なのか?

今日はネットで見かけたこちらの記事から。

労災に増える高齢者 目立つ「転倒」4割近くが60歳超

これからのご時世、長く働かなければいけないという雰囲気が出てきている中、ちょっと気になる今回の記事。

長きに渡り働き続けることができるのかどうかの根幹にかかわりそうな問題ですので、取り上げてみました。

高齢者の労災が増えている理由

ここ最近、働く高齢者の労働災害が増えているそうです。

厚生労働省の発表によると、2018年の労災発生件数は前年比5.7%増の12万7329人。このうち60歳以上は3万3246人と、全体の26.1%に達したとのこと。

グラフで表すと、下のような感じになります。

(引用元:https://www.asahi.com/articles/ASM5K3V90M5KULFA00T.html)

高齢者による労働災害が増えている理由は何か?

これは、単純に就労している高齢者の人数が増えてきていることが背景にあります。

定年の延長、定年後も働くことを希望する人の増加、そして慢性的な人手不足。

こうした理由から、働く高齢者が増えています。

しかし、高齢者自身の希望とは裏腹に、身体的能力は落ちていきます。

そのため、役員を除く雇用者1千人あたりの労災件数は、20代が1.6件なのに対し、60歳以上は3.8件と2倍以上の水準になっていることからも、その事実が裏付けられます。

ちなみに興味深かったのは、労災事故で最も多いのが「転倒」だったことです。

なかでも目立つのが転倒事故だ。全世代では労災全体の25%が転倒によるものだが、60歳以上に限れば37・8%を占める。50代(30・3%)と比べても7・5ポイント高い。
 男女別でみると、転倒事故の割合は10~40代までは男性の方が高いが、50代以上は女性の割合が高くなる。厚労省の担当者は「骨が弱くなりがちな高齢女性が転倒して骨折し、長期の休業につながるケースが多いのではないか」と分析する。

(引用元:https://www.asahi.com/articles/ASM5K3V90M5KULFA00T.html)

転倒とは、もはや業務と直接関係ないように感じるのは僕だけでしょうか?

政府は企業に70歳雇用の努力義務を設ける方向へ

これでは企業側が高齢者を雇用したくなくなるのではないかと思いますが、政府はその点について動き始めています。

高年齢者雇用安定法の改正案が発表され、希望する高齢者が70歳まで働けるようにするため、企業側に努力義務を設けることとしています。

項目は以下の7項目。

  • ①定年延長
  • ②定年廃止
  • ③契約社員などでの再雇用
  • ④他企業への就職支援
  • ⑤フリーランスで働くための資金提供
  • ⑥企業支援
  • ⑦NPO活動などへの資金提供

①から③は現行法に盛り込まれており、④から⑦が改正案ということになります。

2018年の生産年齢人口は7545万人だが、30年後の2049年には5300万人まで減ると見られており、その減少に歯止めをかけることが今回の改正の狙いの一つとされています。

しかし、努力義務にとどめていることもあり、実効性に乏しいのではないかとも考えられます。

企業側から見れば、70歳まで雇用するとなれば、負担が増大することになるわけですから、日本という国として国際競争力を維持できるのか、甚だ疑問ではあります。

個人的には、1日も早く結婚・出産・子育て支援の施策を打ち、長きに渡る生産労働人口を少しでも増やそうと試みるべきではないかと考えています。

これからの老後を生き抜くためのヒント

我々は、これから迎える老後をどのように生き抜けばよいのでしょうか?

1.老後資金を貯める

とにかく最も簡単な老後対策は、貯金をして、老後資金を貯めておくことです。

「老後資金は3000万円」と言われますが、自分の生活費と受け取れる年金を踏まえ、不足分がいくらになるのか算出して、目安の金額を把握しておきましょう。

貯金は、少しでも早くから始めたほうが圧倒的に有利となります。

2.iDeCoを始める

今後も長きに渡り一定の収入を得られると考えている人であれば、iDeCoを始めて、自分年金を作っておくのがよいでしょう。

掛け金は所得控除の対象になることもあり、メリットは非常に大きいです。

投資に抵抗のない人であれば、やっておいても損はないでしょう。

投資に抵抗があるのであれば、60歳まで引き出せないこともありますので、無理にやるべきではありません。

何かやってみたいのであれば、iDeCoのような節税メリットはありませんが、解約はしやすいつみたてNISAのほうがよいかもしれません。

3.できるだけ長く働く

僕個人としては避けたいですが、老後資金が不足している人であれば、この3つめが現実的な選択肢となるでしょう。

実際、そのために制度改革が行われようとしています。

長く働くためには、労災など起こさぬよう体が衰えないよう日頃からのメンテナンスが大切になります。

年々体は衰えていきますから、健康管理に十分な配慮をすべきです。

まとめ

以上『労災に増える高齢者 70歳まで働き続けることは可能なのか?』でした。

今の高齢者は元気ですから、70歳くらいまでなら働くことは可能かもしれません。

しかし、本当にその年齢まで働き続けたいですか?

制度が整備されたとしても、働き続けることが本当に幸せかどうかと言えば、疑問を感じざるを得ません。

少しでも早くリタイアできるよう、老後資金を貯めるほうがよいのではないかと考えています。

老後資金がないと、一生リタイアできない人生を送る羽目になるかもしれません。