「年金100年安心プラン」は100歳まで安心という意味ではない

「年金100年安心プラン」は100歳まで安心という意味ではない

相も変わらず続く老後資金2000万円不足問題。

止まる気配がありません。

正直言って、年金は危ないと感じていた人は多かったはず。

それなのに、これだけの騒動になるというのは、2000万円という具体的な数字のインパクトが大きかったということなのでしょう。

そして、多くの人の"大いなる誤解"が今回の騒動の背後にあるのではないかと考えています。

それが「年金100年安心プラン」です。

「年金100年安心プラン」とは一体何だったのでしょうか?

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「年金100年安心プラン」とは?

「年金100年安心プラン」が提唱されたのは、2004年の小泉内閣時代。

公明党の坂口力厚生労働大臣が主張した用語です。

「年金100年安心プラン」の内容は、以下の2点です。

  • ①保険料は18,3%を上限に2017年まで段階的に引き上げ、それ以上保険料が上らないようにした。
  • ②もらえる年金はモデル世帯で現役世代の手取り収入の50%を確保。

これだけです。

「100歳まで安心して暮らせます」といった記述はどこにもありません。

年金だけで生活できますとも書いていません。

では「年金100年安心プラン」とは何が"安心"なのでしょうか?

年金制度は100年後も維持されますという意味でしかない

「年金100年安心プラン」とは、上記した2つを100年に渡り維持します、と言っただけの話です。

要するに、「年金制度は100年安心です」と宣言しただけなのです。

ところが、「100年安心」という言葉の意味が取り違えられ、一人歩きしただけにすぎないのです。

さらに言えば、すでにこの「年金100年安心プラン」は実現不可能であると指摘されています。

年金の保険料は、賃金上昇に合わせて計算しなおせば、定めた上限を上回ることになります。

また、すべての人のもらえる年金額が手取り収入の50%など実現不可能です。

ですから、「年金100年安心プラン」とは、もはや「とりあえず年金という制度は100年維持はします。その代わり、保険料や支給額はどうなるか分かりませんけど」という程度のものでしかありません。

繰り返しますが、年金だけで100歳まで安心して生活できますとは一言も言っていません。

本気で年金で安心して100歳まで暮らせると思ってましたか?

そもそも、これだけ年金が不安視されてきた中、本気で年金で安心して老後を暮らせる、100歳まで暮らせると思っていましたか?

もし本気で思っていたのだとしたら、ちょっと楽観的すぎやしませんか?

人によって年金の受取額が異なりますので一概には言えませんが、年金だけで生活しようと思えば、相当な節約を強いられることになるはずです。

結局今回の騒動は、普段から危機意識を持っていた人にとっては、想像していたことがいよいよ現実味を帯び、表に出てきただけの話。

危機意識が無かった人にとっては寝耳に水で、ちゃんと今回の報告の中身を吟味せずに、2000万円という数字の大きさに驚き、大騒ぎになっただけなのではないでしょうか。

報告書の最大の狙いは人々に投資を促すこと

今回の報告書は、年金を管轄している厚生労働省ではなく、金融庁から出されています。

では、金融庁の狙いは一体何なのか?

それは、おそらく「人々を投資に促すこと」です。

今回の報告書のテーマは、「高齢社会における金融の目指すべき姿とは何か」です。

つまり、今回の報告書の最大の目的は、老後資金が2000万円不足するので、貯金ではなく投資で増やすことを考えましょうと、人々に投資を促すことです。

日本には1000兆円にものぼる現金・預貯金があります。

金融庁としては、この"埋蔵金"を掘り起こし、金融市場に流したいという思惑があるはずです。

そのため、国民の危機意識を煽るために今回の報告書が作られたのではないかと思われます。

意図した通りかは置いておき、今回の報告書はいろいろな意味で世間の大注目を集めました。

あとは、実際にお金が投資に流れるかどうかです。

まとめ

以上『「年金100年安心プラン」は100歳まで安心という意味ではない』でした。

年金は、制度としては破綻しないと考えられます。

年金の減額・支給開始年齢の引き上げといった方法を使えば、いくらでも延命することは可能だからです。

一方、年金で生活していけるかは別問題。

「ねんきんネット」で将来受け取れる年金を試算し、将来の生活費を考慮し、自分はどれだけの老後資金を貯めなければならないのか、きちんと計算しておきましょう。

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