年金の受取は繰上げ受給の一択なのか?メリット5選の真実に迫る

どうも。『毎日が祝日。』いわいです。
Youtubeの動画を見ていたところ、年金の受取について60歳での繰上げ受給を推奨する動画がやたら多いことに気づきました。
私は繰下げ受給を検討していたため、非常に困惑し、抵抗を感じました。
そこで今回は、Youtubeで紹介されていた年金を繰上げ受給するメリットに焦点をあてて、本当にメリットがあるのかを考えていきたいと思います。
あなたの老後資金プランの参考にしてください。
1.健康なうちに年金を受け取れるから
年金の繰上げ受給のメリット1つ目は「健康なうちに年金を受け取れるから」です。
平均寿命と健康寿命の間には、男性で約9年、女性で約12年もの差があります。
多くの人が人生の最後の10年間を健康上の問題を抱えながら過ごしており、年齢を重ねると行動範囲や物事への意欲も低下する傾向にあります。
そのため、より若い健康なうちに年金を受け取って使う方が、有意義に活用できる可能性が高いと考えられます。
1.に対する反論
確かに、健康なうちにお金を使えるのは魅力です。
しかし、この「健康なうち」という期間は人によって大きく異なります。
もし平均寿命より長く生きた場合、繰上げ受給による減額が生涯続くため、80代・90代の生活資金が不足するリスクが高まります。
特に長寿家系や健康意識の高い人ほど、「元気なうちは得、後半は大きな損」という構造になりやすく、老後後半の生活の質を落とす可能性があります。
私の中で繰上げ受給は「早死にするほうにBETする」みたいな印象があり、非常に疑問です。
2.節税効果が期待できるから
年金の繰上げ受給のメリット2つ目は「節税効果が期待できるから」です。
年金には所得税や住民税などの税金、健康保険料、介護保険料などの社会保険料がかかります。
年金の額面が大きいほど差し引かれる金額も増えるため、繰り上げ受給で年金の額面を減らすことで、税金や保険料の負担を軽減できる可能性があります。
とある動画のシミュレーションによると、手取り額ベースで計算した場合、損益分岐点が額面ベースの約81歳から約86歳へと遅れることが示されていました。
2.に対する反論
節税のために年金額を減らすのは、一種の「小さな得のために大きな損を取る」危険があります。
確かに、額面が減れば税や社会保険料は減りますが、そのために生涯受け取る年金総額も減少する可能性があります。
さらに、将来医療や介護の自己負担が増える可能性が高い中で、税負担を減らす以上の損失を招く恐れがあります。
節税はあくまで副次的な効果であり、長期的な受取総額を犠牲にしてまで優先すべきとは限りません。
ただし、「住民税非課税世帯」となることでメリットは大きいと思われ、今回紹介した5つのメリットの中では最も意味のあるものだと思います。
3.物価上昇に対応しやすいから
年金の繰上げ受給のメリット3つ目は「物価上昇に対応しやすいから」です。
歴史的に見ると、物価は長期的に上昇するのが一般的です。
物価が上昇すると将来もらえるお金の価値は下がってしまうため、同じ金額でも早く受け取る方が価値が高いと言えます。
手取りベースのシミュレーションに年2%の物価上昇率を考慮すると、損益分岐点は96歳になり、繰り上げ受給をした方が得をする可能性が高くなります。
3.に対する反論
物価上昇を理由に早く受け取るという発想は一理ありますが、年金は「マクロ経済スライド制度」により物価や賃金に多少は連動します。
もちろん完全ではありませんが、全く補正がないわけではないため、「インフレで年金の価値がゼロに近づく」というような極端な事態は想定しにくいです。
また、物価上昇を過剰に見込むと、逆にデフレや物価停滞が続いた場合に「繰上げで減額された年金額」だけが固定され、不利になるリスクもあります。
最近ではAIの登場と進出により、各種コストが低下し、物価を下げられるのではないかとの説を唱える人もいます。
4.早く受け取ったお金を資産運用に回せる
年金の繰上げ受給のメリット4つ目は「早く受け取ったお金を資産運用に回せる」です。
早く年金を受け取って資産運用に回すことで、複利効果を最大限に活かすことができます。
運用期間が長いほど、資産の増加速度は加速し、トータルの資産額が多くなる可能性が高まります。
手取り額を年利2%で運用した場合、損益分岐点は96歳、年利3%では100歳以上でも繰り上げ受給の方が得になるというシミュレーション結果が示されています。
4.に対する反論
資産運用で増やせば損益分岐点を遅らせられるのは事実ですが、これは「運用が必ずうまくいく」という前提の話です。
現実には、市場変動・金利低下・インフレなど予測不能な要因が多く、運用リターンが想定を下回れば、減額分を補うどころか資産を減らすリスクもあります。
特に60代以降は運用失敗からのリカバリーが難しく、精神的負担も大きくなります。
実際、新NISA開始後のデータでもありますが、大きな下落局面を迎えると、すぐに全額手放してしまう人が後を絶ちません。
このような現状なのに10年、15年と投資を継続できる人がどれだけいるのでしょうか?
あと、「1.健康なうちに年金を受け取れるから」と言いながら受け取った年金を投資に回すのだとしたら、生活費はどこから捻出するのでしょうか?
例えば、受け取れる年金10万円を全額積立投資に回すとします。
生活費も10万円まで抑えられたとしたら、5年で600万円、10年で1200万円、15年で1800万円必要です。
いや、物価上昇率を2%と仮定すると15年で2075万円必要になります。
それぞれの人に資産形成の目的や目標額があるはずですから一概には言えませんが、投資に回すなら相応の老後資金を貯めておかないと厳しい老後が待っているような気がします。
5.年金の改悪リスクに備えられるから
年金の繰上げ受給のメリット5つ目は「年金の改悪リスクに備えられるから」です。
日本の年金制度は、少子高齢化などの問題により、支給開始年齢の引き上げや支給額の削減が行われてきました。
将来的には70歳への引き上げや、受給金額の減額も検討されています。
このような将来の不透明な年金制度に備えるために、早めに年金を受け取って自分で管理することが有効な選択肢となります。
5.に対する反論
確かに制度改正のリスクは存在しますが、これまでの年金制度改正は「現役世代に新ルールを適用する」形が多く、すでに受給を開始している高齢者への影響は限定的でした。
つまり「繰上げすれば制度改悪を回避できる」とは限りません。
むしろ、繰上げで生涯受給額を減らすことの方が、確定的で不可逆な損失となる可能性もあります。
また、制度改正は段階的に行われる傾向があるため、情報を注視しながら柔軟に受給開始時期を決めるほうが安全かもしれません。
年金を損得で考えるのは正しいのか?
私の年金に対する考え方は「できるだけ長い期間の生活費を賄えるかどうか?」でした。
そのため、繰上げて受給額を減らすという選択肢はあり得ないものでした。
また、トータルでの損益分岐点など考えたこともありません。
月の生活費を賄える金額をもらえるかどうかが重要だからです。
特に、介護が必要となる老後の後半である程度の金額をもらえるように、との考え方が強かったのです。
そのため、繰上げではなく繰下げ受給一択で考えていました。
このタイミングで繰上げ受給推奨派が多いことを知れたのは、私にとって大きな気づきとなりました。
私はまだ受け取り開始まで時間がありますので、じっくりと考えて判断したいと思います。
まとめ
以上『年金の受取は繰上げ受給の一択なのか?メリット5選の真実に迫る』でした。
いかがでしたか?
今回は、繰上げ受給のメリットを5つの視点からお伝えしました。
健康なうちに使える、税金や保険料の負担を減らせる、物価上昇に備えられる、資産運用のチャンスが広がる、そして制度改悪リスクへの対策になる——どれも魅力的に見えますが、長生きすればするほど減額の影響が大きくなる点には注意が必要です。
結局受け取り方に正解はありません。
最終的には、自分の健康状態、家計状況、ライフプランを総合的に考えて判断すべきです。
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