「未来の年表」から読み解く2040年前後の日本の状況と対策
先日、2040年についての記事を書きました。
将来の日本について憂うのと同時、自分自身はどのように立ち振る舞うのが賢明な判断なのか考えさせられました。
そこで今回は、改めて2040年前後の日本がどのようになるのかを『未来の年表』を参考に読み解き、個人レベルでできる対策を考えてみたいと思います。
2030年 百貨店も銀行も老人ホームも地方から消える
まず大前提として、日本は人口減少に直面しています。
2015年が1億2,520万人だった日本の人口は、2030年には1億1,662万人へと減少すると予測されています。
大きな問題となるとは、生産年齢人口(15歳~64歳)が2015年が7,592万人であるのに対し、2030年には6,773万人に減少すること。
要するに、2015年から2030年にかけての人口減少は、生産年齢人口が減少しており、日本という国の生産力が低下することを意味しているのです。
実際、国も生産力の低下が起こることを認めています。
内閣府がまとめた報告書「地域の経済2016」によれば、2030年度には全国の80%にあたる38道府県で、域内の供給力では需要を賄い切れなくなる生産力不足に陥ると予想される。
(引用元:『未来の年表』P89)
少子高齢化に加え、若年層が都市部へ流出することにより、地方の生産年齢人口が大きく減少することが原因として考えられます。
生産年齢人口が減少すれば、税収の減った自治体は行政サービスを維持できなくなります。
また、民間企業も一定の人口がいるからこそビジネスが成立するわけで、利益確保が困難になった地域からは撤退していくことが容易に予想されます。
この一節から考えると、老後の地方移住については慎重に判断せざるを得ないことが分かります。
2033年 全国の住宅の3戸に1戸が空き家になる
日本の空き家問題は、すでに顕在化しつつあります。
総務省の「住宅・土地統計調査」(2013年)によれば、全国の空き家は現在820万戸に上り、過去最高を記録した。総住宅数6063万戸の13.5%を占めており、7~8軒に1軒は誰も住んでいないということだ。
(引用元:『未来の年表』P93)
世帯数が2019年をピークに、今後減少していくと予測されており、空き家数は今後も増加し続けます。
野村総合研究所の試算(2016年)によれば、2033年の総住宅数は約7126万戸へと増大し、空き家数は2167万戸弱、空き家率は30.4%にまで上昇するという。
(引用元:『未来の年表』P94)
空き家問題は、地方の問題と思われがちですが、首都圏・都市部でも確実に空き家は増えていきます。
東京23区内でも見られるようになってきました。
また、空き家は一戸建てに限らず、マンションでも発生します。
実は空き家820万戸のうち、約60%に当たる471万戸がマンションなどの共同住宅であることが分かっています。
このような状況にあっても、新築マンションの建築は進んでおり、明らかに供給過剰の状況に陥っています。
この未来が見えていれば、不動産投資に積極的になろうという気持ちは起きません。
また、将来の住宅を購入したければ、現在より数年後のほうが値下がりするのではないか、格安で手に入れることができるのではないかと想像できます。
よって、2019年10月の消費税増税前の駆け込みで住宅を購入する必要もないのではないかと考えています。
2035年 「未婚大国」が誕生する
日本は婚姻件数がどんどん減少しています。
2015年版「厚生労働白書」によれば、生涯未婚率は1990年を境にうなぎ上りで、現状(2015年時点)でも男性は24.2%で4人に1人、女性は14.9%で7人に1人だが、2035年になれば、男性29.0%で3人に1人、女性は19.2%となり5人に1人が生涯結婚しないという「未婚大国」の誕生となる。
(引用元:『未来の年表』P99)
未婚率が高まっている最大の原因は、「適当な相手にめぐり合わない」とされています。
各自治体は出会いの場を提供すべく各種支援に乗り出したようですが、結果は芳しくないようです。
そもそも恋人のいない独身者も増加しており、事態は深刻です。
未婚者は自ずと将来の独居老人へのつながりますし、何より将来の日本を担う人口を増やせないことが問題です。
ただし、この文章を書いている僕が独身者であるだけに何の説得力も生み出さず、心苦しい限りです。
2039年 深刻な火葬場不足に陥る
僕自身、あまり考えたことのなかった火葬場不足という問題。
なんと、すでに場所・時期によっては、1週間から10日待たされるというケースも生じているようです。
確かに「友引」は縁起が悪いと言われますから、火葬するにも日数が限定されることなります。
また、霊園・墓地不足という問題も。
親が健在の人であれば、親の葬儀をどうするか、どこに埋葬するかという問題が将来発生すると認識しておくべきです。
可能なら、親の意識がはっきりしているうちに親の希望を聞いておき、希望どおりにしてあげられるよう今のうちに準備を進めておくのがよいのかもしれません。
2040年 自治体の半数が消滅の危機に
2030年の段階で、地方のサービスが低下していく可能性を指摘されていました。
その10年後、いよいよ自治体が消滅をしていくことになりそうです。
しかも、半数の自治体が。
中には県庁所在地も含まれます。
民間有識者でつくる「日本創成会議」の人口減少問題検討分科会が2014年に公表した将来推計の結果に日本中が大騒ぎしたことは記憶に新しい。県庁所在地である青森市や秋田市まで「消滅」の対象にされていたため、地方自治体関係者に与えたショックは相当なものがあった。
(引用元:『未来の年表』P109)
さらに衝撃が大きいのは、人口減少は東京都も避けられない予測が出ていることです。
青梅市や福生市といった23区外の都市だけでなく、足立区、葛飾区、杉並区も人口減少の下落率が大きく、危機的な状況は地方だけに限らないことが分かります。
消滅の危機に瀕することのない自治体を終の棲家に選ぶことが重要なのかもしれません。
2042年 高齢者人口が約4000万人とピークに
2042年に高齢者人口がピークを迎える理由は、団塊ジュニア世代が高齢者となるからです。
平均寿命の延びを考えらば、90代半ばに差し掛かる団塊世代や、団塊世代と団塊ジュニア世代に挟まれた世代も含めて、相当数が元気に暮らしていることだろう。こうした団塊ジュニア世代より前の年代もまだかなりのボリュームなのである。
(引用元:『未来の年表』P118)
確かに団塊の世代がまだ生存している可能性はあり、高齢者向けサービスをどうするかという問題は非常に大きいです。
悲しいかな団塊ジュニア世代は、就職氷河期世代であり、収入の伸びない不遇の世代です。
それゆえに、老後破綻の危機を抱えた人たちが多いはず。
親の年金で生活を凌いでいた中高年ニートも多く存在しており、親が亡くなれば、一気に生活は破綻します。
よって、年金で支えるのではなく生活保護によることになる可能性も高いです。
このような危機感からか、先日政府がいよいよ対策に乗り出すことが報じられました。
具体的にどのような対策になるのかは分かりませんが、実効性のある政策が実施されることを期待したいです。
2045年 東京都民の3人に1人が高齢者に
2045年にもなると、いよいよ東京都も高齢者で溢れかえります。
都の高齢化率の将来推計を行っているが、それによれば2015年こそ全国平均(26.6%)より低い22.7%だが、2030年には24.3%、2045年には31.3%とついに30%を突破し、東京も「3人に1人が高齢者」という街に変貌するというのだ(さらに2060年には33.7%と他の都府県を応用に増加していくと見込んでいる)。
(引用元:『未来の年表』P123)
これから待っている東京の高齢者問題は、地方よりも深刻です。
なぜなら、地方の高齢者問題は、すでに発生していた問題であり、2045年にもなると、逆に高齢者が減り始めます。
一方、東京をはじめとする大都市圏では、総人口があまり変わらず、高齢者人口だけが急増していくことになり、実は大都市圏ほど深刻な問題なのです。
ゆえに、大都市圏こそ"高齢者サービス難民"が溢れてしまう懸念もあることは理解しておくべきです。
このままでは、将来的にさらなる保険料の値上げや消費税率アップなど、我々の負担はますます拡大していくことになるでしょう。
もはや東京でも行政サービスの維持が難しくなるおそれもありそうです。
地方は自治体消滅の危機に瀕し、東京は高齢者で溢れかえる。
一体どこに終の棲家を構えればよいのでしょうか?
この未来を予測していた人たちは、すでに日本を離れているのかもしれません。
まとめ
以上『「未来の年表」から読み解く2040年前後の日本の状況と対策』でした。
これらは現状から何の対策も立てられなかった場合、将来発生する可能性の高い問題です。
行政による何らかの対策が行われることを期待しないわけにはいきません。
そして、自分自身でも将来起こりうる問題を予測し、できる範疇で対策を講じるべきでしょう。
なんといっても老後資金を数千万円レベルで確保しておくのは、最低限やっておくべき対策かもしれません。
日本に待ち受ける未来は決して楽観視できないことを認識しておかなければならないのです。