老後資金の不足は2000万円ではとどまらない!
先日、金融庁は老後資金が2000万円不足するとして、国民に自助努力を求めてきました。
公的年金制度の限界を政府自ら認めた格好です。
元々ここまでの少子高齢化、長寿社会は見込んでいなかったでしょうが、こうなることは20年前には分かっていたわけで、何の対策も講じてこなかった政府の責任は大変重いと思っています。
そして、そんな無策の政府を支持してきた国民の側にも自業自得の感があります。
今さら何を言っても遅いので、自助努力をするしかありません。
ただ、金融庁は2000万円と言っていますが、実際そうとは限らない可能性を知っておかなければいけません。
老後資金は2000万円不足する
金融庁が発表した「老後資金は2000万円不足する」という根拠は、次のような計算です。
老後に年金収入だけで暮らす高齢者夫婦であれば、毎月の赤字額が5万円になると推定。
5万円×12ヶ月×30年=1800万円、およそ2000万円が不足する計算になります。
普段から老後のお金のことを考えていた人なら、「老後資金は3000万円」という言葉を目にしているはずですから、そこまで驚くことはなかったでしょう。
しかし、そうでない人にとって、いきなり2000万円必要と言われれば、衝撃が走るに決まっています。
老後のお金のことなど考えていませんから、たいした貯金もない人が多いはずです。
どうしたら2000万円貯められるのか?
そんな心配をし始めたところへたたみかけるようですが、最悪のシナリオが待ち受けていることも想像しておいたほうがよいでしょう。
年金の支給額が減り、老後資金は4000万円不足する
先ほどの老後資金が2000万円不足するという資産は、あくまで現時点で支給されている年金をベースにした話です。
例えば、現在40代の人が20年後に同じ水準の年金を受け取れると思いますか?
おそらく将来の年金は、現在よりも減額されているでしょう。
そうしなければ、年金制度の維持が難しいはずだからです。
仮に、年金支給額が5万円減額されたとしましょう。
すると、不足する老後資金は、10万円×12ヶ月×30年=3600万円、およそ4000万円に拡大します。
4000万円を貯められますか?
2000万円なら貯められそうですが、4000万円ともなると一筋縄ではいかなくなります。
そもそも3000万円以上の金融資産を保有する人は、全世帯の20%程度ですから、貯められない人の方が多いはずです。
年金支給年齢が遅れ、老後資金は5500万円不足する
さらに、年金制度の維持のための施策として、年金の支給開始年齢を遅らせるという方法もあります。
現在の65歳から70歳に変更すれば、国としては年金の支給額を減らすことができます。
つまり、年金以外に収入がないと仮定すれば、5年間無収入の状態となります。
金融庁の想定では、1ヶ月の生活費は夫婦で26万円の想定ですから、26万円×12ヶ月×5年=1560万円がさらに不足することになります。
よって、3600万円+1560万円=5160万円、およそ5500万円が不足します。
2000万円だったはずの老後資金の不足は、あっという間に2.5倍以上になりました。
金融資産を5000万円以上保有する割合は、全体の1割にも満たないため、大半の人が老後破綻することになります。
年金が破綻したら、1億円以上必要になる
そして、最も最悪なシナリオが、年金制度が破綻することです。
考えたくもありませんが、可能性がゼロでもありません。
破綻しないと言う人もいますが、すでに60歳支給だったはずが65歳になり、自助努力を求めだしたわけですから、何も信じられません。
もし本当に年金が破綻したら、26万円×12ヶ月×35年=1億920万円となり、不足する老後資金は1億円を超えることとなります。
こうなると、もはや誰も助からないです。
さすがにここまで来ると、政策的に何かしらの手は打たなければいけないでしょう。
ただ、ここまでほぼ無策の日本政府ですから、何もしないことだって可能性はないとは言えません。
まとめ
以上『老後資金の不足は2000万円ではとどまらない!』でした。
最悪のシナリオは、実際には可能性としては薄いのではないかと考えるものの、ゼロでもないだけに怖さはあります。
ただ、あと20年も経たないと分からないことに今から不安を抱いても仕方がありません。
であれば、今のうちにしっかりと年金以外に収入を得られるよう、仕組みを構築したり、スキルアップしたりする方が賢明です。
不安は妄想にすぎないのですから。