年金に関するデモの中身がどうにもズレていて仕方がない
6月16日(日)、老後資金2000万円必要問題をめぐり、政府の説明や年金制度の改善を求めるデモが東京都内で行われたとの報道がありました。
ようやく民衆の動きが出たということで、少し安堵しています。
これで何も起こらなければ、日本という国は落ちていくだけなのではないかと思っていたからです。
ただ、デモの中身が評価できるかというと、そういうわけにはいきません。
すべてを見たわけではありませんが、報道の中に見かけた文言から個人的な感想を少し厳しめに述べていきます。
年金デモのズレ1 暮らせるだけの年金を払え
そもそも我が国の年金制度は、 賦課方式と呼ばれる方式を採っています。
賦課方式とは、現役世代が支払った保険料を高齢者など年金給付に充てる方式です。
自分が納めた年金が将来戻ってくるわけではありません。
現在の日本は、現役世代の人口がどんどん減少しています。
そのため、年金制度が維持できるのかどうかが議論され、人々の関心と不安を呼んでいました。
おそらく年金制度を維持するためには、支給額を減らすか、支給開始年齢を引き上げるかすることで、対処することになるでしょう。
このような現状を鑑みると、「暮らせるだけの年金を払え」という主張は暴論です。
時代の転換を見極めていれば、年金だけで暮らしていくことはできなくなる可能性が高くなるのは分かっていなければいけないことです。
ですから、この主張はむしろ自身の無知や無関心をアピールしてしまうだけに過ぎないと言わざるを得ません。
年金デモのズレ2 2000万は貯められない
「老後資金が2000万円不足する」という報告に対し、2000万円など貯められないとの主張なのでしょう。
2000万円以上貯められる人は、一定数以上います。
つまり、2000万円以上貯められるかどうかは日本国民の問題ではなく、あなた自身の問題と言っても過言ではありません。
収入が少ないか、支出が多いか、それだけです。
おそらく、大半の人は実は支出が多すぎるのです。
2000万円以上貯められなければ、支出を減らし、少ない収入でも生活できるようやりくりするだけの話です。
デモに参加した人たちは、報告書をきちんと読んだのでしょうか?
今回の報告書の内容は、あくまで余裕ある生活を送るには2000万円足りないというだけの話です。
年金デモのズレ3 年金を返せ
これまで支払った年金を返せということでしょうか。
まず、先にも述べましたが、我々が支払っている年金は、自分たちが将来受け取るためのものではありません。
現在の高齢者を支えるために支払っているものになります。
したがって、我々が年金の支払いをやめることは、高齢者の年金を奪うことになります。
よって、将来自分たちも年金を受け取らないということを意味します。
では、年金をやめて、年金としてこれまで支払っていた金額をすべて預貯金に回すことができるのでしょうか?
おそらく「2000万円も貯められない」と主張するような人たちですから、結局お金が手元にあれば、使ってしまうことでしょう。
よって、本当に年金制度をやめたとき、一番困るのは自分たちになるはずです。
年金デモのズレ4 (自営業者が)老後に備えようにも余裕はない
自営業者には厚生年金がありません。
そのため、国民年金のみとなり、サラリーマンなどに比べ、はるかに少ない年金の支給額となります。
ただ、自営業という職を選んだ時点で、そのことは分かっていたのでは?
であれば、サラリーマン以上に老後資金をいかに貯めるかを考えておかなければならなかったはず。
それなのに、「余裕がない」とはどういうことなのか、さっぱり意味が分かりません。
今さら何を言っているのか、よく分からない主張と言わざるを得ません。
まとめ
以上『年金に関するデモの中身がどうにもズレていて仕方がない』でした。
実際にデモに参加したわけでもなく、デモを見たわけでもありませんので、報道の中身からの推測で書いた記事です。
よって、正確性を欠いているかもしれません。
ただ、報道から読み取れる内容としては、どうも違和感を感じて仕方がありませんでした。
年金に関して、すべての問題が解決するミラクルな政策はないでしょう。
それならば自衛するしかありません。
まずは報告書を読んでみることから始めてみるのが一番良いのはないでしょうか。