年金の「繰り下げ受給」は大損する…じつはトータルだと「もらえる額」がこんなに減る

2022年10月10日

年金の「繰り下げ受給」は大損する…じつはトータルだと「もらえる額」がこんなに減る

どうも。『毎日が祝日。』いわいです。

今日はネットで見かけたこちらの記事から。

毎度おなじみ荻原博子の記事です。

ただ一般的に年金の繰り下げ受給は嫌われていますから、今回は共感を得られるかもしれません。

それでは記事の中身を見ていくことにしましょう。

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繰り下げ受給は86歳より長生きしないと損をする?

まずは繰下げ受給がなぜ損をするのか?という主張については次の引用に説明がなされています。

「75歳まで繰り下げた場合は、損益分岐年齢の86歳より長生きしないと、損をする計算になります。

男性の平均寿命が81・6歳であることを考えると、かなり長生きしないとトータルではマイナスになってしまう。女性でも平均寿命は87・7歳なので少しでも早死にすると損になってしまいます。さらに深く考えないといけないのは、健康寿命の問題です」

なるほど、75歳まで繰り下げた場合、損益分岐点となる年齢は86歳になるようです。

私の以前の調査では91歳だったような気がしますが、どちらにしても長く生きなければ損する計算ではあります。

そして「健康寿命も考えなければいけない」とのことです。

健康寿命は健康上の問題で日常生活が制限されることなく過ごせる寿命のことだが、直近の調査だと男性が72・7歳で女性が75・4歳となっている。

すなわち、75歳まで繰り下げてやっと年金をもらえるという段になっても、自分の足で旅行に行ったり、美味しい食事を楽しんだりすることが、思うようにいかなくなっている人が大半なのだ。

そのため、健康寿命を過ぎると当然、支出は減っていく。総務省の調査によると、単身世帯の月の平均消費支出は約16万円だが、75歳以上に限ると、約14万円まで少なくなる。年をとってから多めに年金をもらっても使うことなく人生を終える人ばかりになるのだ。

確かに75歳まで繰り下げて年金額を増やしても、その頃に自分の体が自由に動くかどうかの問題はあります。

そう考えると繰り下げ受給というのは意味が無さそうですが、はたして本当にそうでしょうか?

繰り下げ受給否定派への疑問「なぜ75歳まで繰り下げる前提なの?」

繰り下げ受給はやめたほうがいいという記事をよく見かけますが、私の疑問はこの手の記事では75歳まで繰り下げることを前提として話が進められています。

さすがの私も75歳まで繰り下げるのはいかがなものかと思っています。

なぜなら年金を多くもらったところで体が動くか分かりませんし、生きているかさえ分からないからです。

しかし、だからと言って繰り下げ受給自体を否定するのも違うのではないかと思っています。

繰り下げ受給は75歳から年金を受け取る制度ではありません。

1ヵ月単位で受給を遅らせ、その分0.7%ずつ増えるのですから、例えば66歳から受け取ることだって可能なわけです。

そのあたりは毎度引っかかっています。

税金・保険料を差し引いた残りの金額が重要

年金は額面の金額ばかりではなく税金や保険料を差し引いた残りの金額がいわゆる「手取り」となりますから、実際に受け取れる金額がいくらになるかが重要です。

その意味では今回の記事は繰り下げ受給のデメリットである「収入増に伴う負担増」に触れている点は良いかと思います。

その事例が以下の引用になります。

都内在住の男性が65歳から受給した場合(月額の年金受給額を16万と仮定し、編集部で試算)、年間の所得税は9000円、住民税は2万8000円、保険料も15万6000円程度だ。

しかし繰り下げて75歳から受給すると、年間の所得税は7万8600円、住民税は16万7000円、保険料は32万4000円もかかってしまう。

月16万と仮定するなら年間192万円の受給額から引用内の年間所得税・住民税・保険料を差し引くと手取りは172.7万円。

12で割れば、ざっくり手取りは月額約14.4万円となります。

これが75歳まで繰り下げた場合、16万円が29.4万円まで増えます。

よって年間なら3,532,800円です。

ここから引用内の年間所得税・住民税・保険料を差し引くと2,963,200円となります。

よって12で割ると月額約24.7万円となります。

これなら繰り下げたほうが単純に手取りも増えますから良いのではないかという話になります。

しかし収入が年金のみの場合は自治体によって〇〇万円以下の年収なら住民税非課税となったりします。

このラインを年金額が超えるか否かで実際に受け取れる金額が大きく変わったりしますから、ボーダーラインに近いところにいる人はこのあたりも考慮すべきです。

自分の条件に当てはめて各自がベストな方法を考えるべし

ここまでいろいろと語ってきましたが、結局のところ「各自が自分で考えろ」が回答となってしまいます。

なぜなら条件が人それぞれ異なるからです。

全く同じ条件になる人は一人としていないのではないでしょうか。

結婚しているか独身か、65歳時点で収入があるか、貯金がどれくらいあるかなど、いろいろな条件があります。

自分がどのような状況になりそうかを考え、ベストな受け取り方を考えるしかないと思っています。

「繰り下げは損」と頭から決めつけるのは辞めたほうがよいと思います。

先日も記事にしましたが、安易に繰り上げ受給を選択したばかりに追い詰められた事例もあります。

繰り上げが得かと言われると、そうではない場合もあるわけです。

また、年金額を総額での損得勘定で考えるのも正しいかどうかです。

単純に老後の生活を送る上で毎月本当に必要な金額を補えるかどうかのほうが重要かもしれません。

ですから本当に人それぞれなので、自分で考えてベストな方法を探るのが良いのではないかと考えています。

まとめ

以上『年金の「繰り下げ受給」は大損する…じつはトータルだと「もらえる額」がこんなに減る』でした。

いかがでしたか?

年金は本当に難しい問題だと思います。

人によって条件があまりにも違い過ぎます。

そして考え方も違います。

だからこそ自分の頭で考えて答えを出すしかありません。

私たちにできることは、年金制度を始め、お金のことを勉強することです。

年金は複雑ですし、制度もたびたび変更になります。

常に情報を収集しアップデートしておくことが最適な判断への近道となるでしょう。

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