老後資金の柱「退職金」がなくなる日がすでに始まっていた

どうも。『毎日が祝日。』いわいです。

今日はネットで見つけたこちらの記事から。

退職金がなくなる?

退職金のない会社に勤務している私にとって無感情ですが、タイトルにゾッとする人も多いのではないでしょうか?

私も個人的に気になったので記事の中身を見ていきましょう。

退職金を見直す企業が増えているらしい

実は、終身雇用の最後の砦ともいうべき「退職金」見直しの議論がコロナ禍で加速している。一般的な退職金は、退職時基本給×支給率(勤続年数)で決まる。勤続年数こそが鍵となる、まさに終身雇用を支える制度といってもよい。

他人事だったとはいえ退職金を見直す企業が増えている点は全然気づいていませんでした。

なぜコロナ禍において退職金見直しが加速しているのか?

その回答は次の一節にありました。

「社員の経験や能力を評価し、昇給額が毎年積み上がっていく給与体系を、最近になって、与えられた職務をこなせるかどうかで給与を決定する職務給制度に新たに変更しました。職責を果たせなければ給与も上がらなければ昇格もしない。つまり、じっと経験を積めば上に上がり、長く定年まで働いてくださいという仕組みではなくなった。そうした考え方を前提に考えると、過去の実績や勤続年数で積み上がっていく今の退職金制度のあり方とはどうしても矛盾が生じる。賃金制度改革の次は退職金の見直しに着手していく予定です」

この会社の考え方は、企業が必要とする職務に人を配置し、年齢や勤続年数を排除し、職務内容が変わらなければ給与も上がらないという、近年増加しているジョブ型雇用にも通じる。ジョブ型雇用と、勤続年数重視の退職金とは明らかに矛盾する。

確かに職務給や成果主義、ジョブ型雇用といった給与のシステムは長く働くこととは無関係です。

そう考えると、長く働いてもらうことを目的とした退職金制度は適切な仕組みとは言えないと考えるのは何ら間違っていません。

現行の退職金制度は転職者に不利な仕組み

また人材採用の観点からも退職金制度にメスを入れなければならないという見方もあるようです。

「デジタル技術など企業にとっては今後さらに、その時々に必要な有能な人材をいかに集められるかが重要になってきます。人材獲得競争が激しくなれば報酬水準が高騰し、結果として報酬格差がより一層拡大することになります。人材の流動化が進むと終身雇用を前提とした賃金体系の意味がなくなり、報酬形態も個人ごとに異なる年俸制などが主流になるだろうし、退職金制度のあり方も見直す必要があるでしょう」

確かに退職金が発生するのは勤続3年以上とか条件を設けている会社もあります。

その場合、退職金の条件の悪さが採用の足かせになる可能性があります。

ですから優秀な人材を確保するためには退職金制度も見直しの対象となるのは仕方ないという側面もあります。

一方で労働者側から見れば退職金は老後を支える上で貴重な収入源であり、簡単に無くされては困る仕組みです。

退職金制度は廃止か企業型iDeCoへ移行される

では今後の退職金制度はどのようになっていくのでしょうか?

1つは退職金制度の廃止です。

退職金制度を廃止する企業は年々増加している。退職金に関して5年ごとに厚労省が大規模に行う「就労条件総合調査」(従業員30人以上)によると、退職金制度がある企業は80.5%(2018年)。その15年前は86.7%(2003年、25年前は92.0%(1993年)だ。廃止企業が徐々に増えている。

ちなみに中小企業になるともっと多い。東京都内の中小企業で退職金制度がある企業は2020年7月時点で65.9%(東京都産業労働局調査)。前回調査の2018年の71.3%より5ポイント以上減少し、廃止企業が増加している。中小企業を中心に今後も退職金廃止の企業が増加していくことは間違いないだろう。

なんと退職金を制度自体廃止にしている企業が大きく増加していました。

すでにドライな方向に舵を切る企業がたくさんあったようです。

もう1つは企業型iDeCoへの移行です。

企業型iDeCoは会社が拠出した掛金を社員が自己責任で運用する仕組みです。

つまり会社が外部に積み立てた退職金を定年後に支払うのではなく「現在の給与に見合った退職金相当額を毎月、前払いで支払う」ようにすることだ。

要するに会社は毎月退職金に相当する金額を前払いするので、あとは自分で運用して増やしてね、という仕組みです。

これによって従来型の退職金のデメリットも解消されます。

毎月、給与額に応じた掛け金を拠出する企業型iDeCoに全面的に切り替えれば、退職金目当てで会社にしがみつく社員もいなくなれば、中途入社の社員が不利になることもない。しかもiDeCoは転職先に持ち運ぶ(ポータビリティ)ことも可能だ。

実際、すでに大手企業でも企業型iDeCoへの切り替えが始まっていました。

すでに大手企業ではiDeCo(B)に全面移行する企業も登場している。博報堂DYホールディングスも2018年4月から移行。またパナソニックに続いてソニーが2012年入社の社員から確定拠出年金を導入、2019年10月には既存社員を含めて全面移行している。今後も増えてくるのは確実だろう。

約4割の加入者が想定利回りを超える運用ができず

企業にとっては退職金制度を改革できて喜ばしいかもしれません。

しかし労働者側からすると難題を吹っ掛けられた格好です。

なぜなら毎月支払われたお金を運用していかなければならないからです。

そして運用で成果を出し、想定される退職金を手にしなければならないのです。

投資に対して否定的な立場の人であっても会社が企業型iDeCoを導入すれば否応なしに投資せざるを得ない状況に追い込まれます。

また、約4割の加入者が想定利回りを超える運用ができず目標額を達成できていないというデータもあるようです。

老後資金は自力で用意するものという意識がこれまで以上に求められます。

まとめ

以上『老後資金の柱「退職金」がなくなる日がすでに始まっていた』でした。

いかがでしたか?

最後にまとめです。

老後資金の柱「退職金」がなくなる日がすでに始まっていた

・長い期間働いたほうが有利となる退職金は成果主義やジョブ型雇用と矛盾する

・退職金制度の見直しを始めた企業が増えている

・退職金制度を廃止した企業も増えている

・企業型iDeCoへ移行される選択肢もある

・企業型iDeCoで約4割の加入者が想定利回りを超える運用ができていない

現在40代の人は老後資金で退職金を当てにしていると、今後の制度変更に伴い大きな間違いを犯すことになるかもしれません。

これから求められるのは労働者側の意識改革です。

平均退職金額(大学・大学院卒)はすでに1997年の3203万円から2017年は1997万円にまで落ち込んでいるというデータもあります。

長い期間働いているだけで高額の退職金が手に入る時代は終わったと理解すべきです。

まだ従来型の退職金をもらえる会社であっても、今後いつ制度改革が行われるか分かりません。

その日が来ても大丈夫なように、今のうちから老後資金を蓄える動きを取っておくのが無難です。