年金見込額月13万円の50歳会社員が4000万円で陥った地獄のFIRE
どうも。『毎日が祝日。』いわいです。
今日はネットで見かけたこちらの記事から。
毎度おなじみ煽り系メディア「幻冬舎ゴールドオンライン」に掲載された記事です。
記事のタイトルを見る限り、内容がよく分からないのですが、4000万円でFIREして何かしらの問題が起きたのでしょう。
一体どういうことなのでしょうか?
50歳から変わる「ねんきん定期便」
今回の主役はYさん、60歳。
10年前の50歳のときにFIREしたそうです。
首都圏に住んでおり、大学卒業後に中小企業に就職。
特に無駄遣いをすることなく、気づけば28年勤務して、3800万円を貯めていたそうです。
50歳になって送られてきた「ねんきん定期便」はこちら。
老齢基礎年金 | 老齢厚生年金 | 合計 | |
Yさん | 775,200円 | 799,787円 | 1,574,987円 |
「ねんきん定期便」は50歳になると、将来受け取れる見込みの年金額が記載されるようになります。
これを見ると、将来受け取れる年金額は13万円程度しかありません。
私なら、もっと年金額を増やせるよう長く働かなければ、と考えるのですが、Yさんは違いました。
4,000万円を元手にFIRE
なんと、ネットで知ったFIREに心を動かされてしまったのです。
「貯金を運用すれば、理想の老後を送れるのでは?」
さらに、このタイミングで社内の早期退職希望者には退職金を300万円上乗せするとの情報を発見。
「今しかない!」と決心し、50歳で早期退職したのでした。
退職金は合計で1000万円。
FIREの資金は貯金3000万円と合わせ4000万円となりました。
Yさんは退職後、資産運用を開始。
当初は1日中パソコンの前に座り続けた日もあったようですが、株価が順調に推移したのか、徐々に余裕ができ、たまには旅行にも行けるようになりました。
会社勤めをしていた頃には考えられないような満足感を得られたことでしょう。
FIRE後に生じた4つの誤算
しかし、FIRE生活突入から10年。
YさんはFIREしたことを後悔しています。
理由は4つ。
まず1つめは「自宅から出る機会がめっぽう減ったこと」です。
働いていた頃は会社帰りに常連となっていた居酒屋に飲みに行くのが習慣になっていました。
しかし、FIREしてからは足が遠のいたそうです。
その理由は居酒屋での会話の話題は「仕事の愚痴」だったから。
話すネタがなくなり、周囲と会話も噛み合わなくなり、居心地が悪くなったのでしょう。
今では周囲とコミュニケーションを取る機会が激減し、世間から取り残され始めています。
2つめは「運動不足」です。
外出が減少し、パソコン前に張り付くようになったため、温泉に行くときくらいしか歩かなくなりました。
会社を辞めましたから健康診断も受け無くなりました。
体調に異変を感じ、ようやく受けた診断の結果はなんと「腎不全」。
医師からは温泉を控えるように言われてしまいました。
3つめは「生活費の上昇」です。
Yさんが住んでいたアパートが老朽化し、転居を余儀なくされ、住居費がアップ。
生活費は18万円まで増加しました。
そして4つめは腎不全と診断されたことによる「今後の医療費の負担」です。
これから治療が始まるため、いくらかかるか分かりません。
さらに独身のため、将来介護施設に入居するとなれば、さらなる費用負担が求められます。
Yさんの後悔からFIREを目指す人が学ぶべきこと
それにしても、です。
より良い人生を手に入れようとFIREしたのに、後悔しているとは何事でしょうか。
やはり最大の原因は「準備不足」「想定不足」でしょう。
YさんはFIREの良い面ばかりに目が行き、会社を辞めてから何がなくなるかが想像できませんでした。
おそらく何も考えていなかったのだと思います。
FIRE失敗して再就職した人たちも、おそらく同様に無策でFIRE生活に突入したのでしょう。
Yさんが陥った問題をまとめれば「孤独対策」「健康対策」「支出増対策」「介護対策」の4つと言えるでしょうか。
まず「孤独対策」ですが、これは会社を辞める以前から趣味を始め、何かしらのコミュニティに属しておくことになります。
特に仕事ばかりのサラリーマンの場合、会社を辞めた途端に人付き合いが皆無になる危険性があります。
そのため、趣味を中心に他人と接する機会を用意しておかないと、他人と会話することが無くなります。
「健康対策」は個人の習慣の問題だと思っています。
毎日外出してウォーキングやジョギングするとか、運動不足にならないような習慣を身に着けておくこと。
あとは、生活習慣も崩さないようにすること。
仕事に行かなくなることは、想像以上の運動不足を引き起こしますし、睡眠も乱れる可能性があります。
その意味では自分の意思が非常に重要となってきます。
「支出増対策」は大問題だと思っています。
Yさんの場合はアパートの老朽化による引っ越しに起因していますが、他人事ではありません。
住宅という点では水回りのトラブルなどによる臨時の出費などが起こり得ます。
それよりも、そもそも「物価上昇」というリスクを忘れてはいけません。
生活費は年々微増していく想定をしておくべきです。
もし物価上昇を織り込んでいない人がいるならば、自分が思っているより多めの資産を貯める方向に修正すべきです。
資産額は最後の「介護対策」にもつながります。
突然のことでも無い限り、多くの場合、人生の最終盤は誰かの力に頼らざるを得ません。
介護にかかる費用は正直読めませんが、平均では1人500~600万円とも言われています。
よって、介護にかかる費用も織り込んで目標資産額を決めるべきです。
FIREに踏み切る勇気と勢いは大事だと思いますが、周到な準備はより大事です。
会社を辞めたらどういう変化が起こるのか、至る方面に渡り考えておかないと、Yさんのように後悔することになるでしょう。
まとめ
以上『年金見込額月13万円の50歳会社員が4000万円で陥った地獄のFIRE』でした。
いかがでしたか?
「ねんきん定期便」を真に受けて、50歳で13万円もらえると勘違いしたと思ったのですが、実際には全く異なり、FIREを後悔しているという記事でした。
やはりFIREは準備が重要であることと、適性があるのではないかと思いました。
あと、個人的には「FIRE達成」という表現が良くないと思っています。
FIRE生活に入ることは"達成"ではなく"開始"でしかないからです。
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