老後破綻の原因は生活レベルを落とせないこと
今日は、ネットで見かけたこちらの記事から。
よく、老後資金は3000万円なんて言われますが、実際に3000万円貯めたにもかかわらず、老後破綻寸前まで近づいてしまった事例です。
反面教師シリーズとして、ご紹介します。
退職金があれば、老後資金3000万円は達成可能
今回の記事の人は、現在は奥さんと2人暮らし。
2人の子どもは30代となり、すでに家を離れ、独立しています。
この人は60歳まで仕事を続け、見事に老後資金3000万円を準備することができたようです。
再雇用制度を利用し、今も現役で仕事を続けているKさん(63歳)は退職時、2000万円の退職金をもらいました。その段階で1000万円近く貯蓄することもでき、合わせた老後資金は3000万円ほど準備できました。
ここでポイントになるのは、退職金の有無です。
退職金2000万円というのは、個人的な感覚としては、なかなかの部類なのかなと思っています。
なにせ僕の会社には退職金などありません。
ですから、あるだけうらやましいのですが、それに加えて2000万円。
上を見ればキリがありませんから、そりゃもっと大いにこしたことはありません。
それでも、2000万円なら十分でしょう。
そして、ご自身で1000万円を貯めたことで、3000万円の老後資金を準備できたわけです。」
しかも、再雇用制度を利用して、再就職することにも成功。
手取りで30万円もらえたのだとか。
こうなれば、あとは余裕をもって残りの人生を逃げ切るだけのはずだったのですが。。
老後破綻を招く原因その1 子どもの独立後の支出増
ところが、再就職して手取り30万円の収入を得られたにもかかわらず、家計は苦しい状態に陥っていました。
そして、徐々に老後資金を食いつぶしていかざるをえない状況に陥りました。
老後資金を減らしてしまった最大の原因となったのは、生活レベルを上げてから落とせずにいたことでした。
子どもが小さく、教育費などがかかっていたころは、節約を意識してやりくりしていました。しかし、上の子どもが独立したらころから「こういうことにお金をかけられるようになった!」などと喜ぶことはあれど、支出を削るようなことはありませんでした。それは、下の子が独立した後も同じです。
子どもの教育費というのは、長期に渡り、そして大きな金額がかかります。
それゆえに、晴れて子どもが独立したら、本当に自分のやりたかったことをやりたい。
自分のためにお金を使うことができる。
これは、気持ちとしては非常に理解できます。
どれだけ長い間、いろいろなことを我慢してきたことか。
だからこそ、自分のためにお金を使いたいという気持ちはすごく分かります。
しかし、手取り収入30万円に対して、支出が40万円にものぼっていたというのは正気の沙汰とは思えません。
手取りが30万円なのであれば、30万円以内で生活しなければ、貯金を取り崩さざるを得ないのは当たり前のことです。
それがいい歳になってもできない。
「自分は大丈夫」と思っている人は要注意です。
他人ができないからこそ、自分も他人事ではないのです。
特に、今の支出はやや多いという自覚があるのであれば、なおのことです。
一度大きくした生活を小さくするのは、思いのほか大変です。
ですから、本来であれば最初から生活を大きくしない方がよいのです。
老後破綻を招く原因その2 年金の繰り上げ受給
次に大きな問題となったのは、年金でした。
現在の年金制度では、通常の支給開始は65歳からです。
ただ、現在の年金制度には「繰り上げ受給」という制度があり、希望すれば60歳から65歳の間でも年金を受け取ることができるようになっています。
繰り上げ受給のメリットは、なんといっても65歳よりも早く年金を受け取ることができることです。
早くから年金を受け取ることで、早い時期から生活を安定させることが可能となります。
しかし、繰り上げ受給にはデメリットもあります。
繰り上げ受給最大のデメリットは、年金の受取金額が少なくなるということです。
金額の計算式は、「0.5%×繰り上げた月数」で計算します。
例えば、1年早く受給開始した場合は、0.5%×12ヶ月=6%の金額が減額されて支給されることとなります。
最も早くて60歳から受給することができるわけですから、その場合の支給金額は0.5×60ヶ月=30%も減額されることになります。
記事中には何歳からの繰り上げ受給にしたかは明記されていませんでしたが、繰り上げ受給を選択したということは、今後の年金もずっと減額されたままの金額が支給され続けることになります。
繰り上げ受給したことで家計の赤字が解消されればよかったのですが、赤字が解消されることはありませんでした。
まだ収入よりも支出の方が多かったからです。
結局、老後資金として貯めたはずの3000万円は、あっという間に2000万円まで減ることとなりました。
老後破綻を招く原因その3 住宅ローン
そしてさらに老後資金減少の追い打ちをかけるのが、住宅ローンでした。
この人は、住宅ローンの支払いが完済しておらず、まだ1000万円もの住宅ローンが残っていました。
したがって、住宅ローンを完済すると、老後資金はさらに1000万円減少して、1000万円しか残らないことになります。
この時点で、老後破綻が見えてきてしまいました。
もし雇用を終えて、年金生活に入れば、収入が減少することが確実だからです。
この時点で、もはやどうすることもできません。
いや、やるべきことは1つだけありました。
それが、生活レベルを落とすことです。
老後破綻を避ける方法その1 生活レベルを落とす
今回の事例では、3つの老後破綻を招きかねない原因を紹介しましたが、やはり生活レベルを落とせないことが最大の原因でした。
裏を返せば、生活レベルを落とすことこそが、老後破綻を避ける最良の方法ということが言えそうです。
本来であれば、子どもが独立して、家計全体の支出が一気に減少すると、貯金ができるはずの時期になるのですが、この家計はそうはなりませんでした。
子どもが独立したことで、自分の楽しみの支出を増やしてしまい、十分が蓄財ができなかったところに大きな問題が生じました。
人生で最もお金が貯まる時期をフイにしてしまったという点では、自業自得というよりほかありません。
この人にとっては不幸かもしれませんが、我々はこの人から学ばなければなりません。
生活レベルは落とさなければならない。生活レベルは上げてはならないということを。
老後破綻を避ける方法その2 必要な老後資金を見極める
そして、次に老後破綻を避ける方法は、必要な老後資金を見極め、その金額を貯めるということです。
今回の事例では、よく言われる3000万円を貯金したにもかかわらず、老後破綻の危機に陥りました。
つまり、老後資金が3000万円では足りなかったということです。
生活レベルを落とすことがどうしてもできないのであれば、それを見越してより多くのお金を貯めておくべきでした。
そうすれば、多少早くに貯金を取り崩すことになったとしても、貯金が多ければ、なんとか耐えることができるかもしれません。
老後破綻を避ける方法その3 老後に住宅ローンを残さない
最後に大事なことが、老後に住宅ローンを残さないということです。
住宅ローンという人生最大の支出は、完済した状態で老後を迎えたいところです。
住宅ローンを支払い終わってからが、本当の老後なのかもしれません。
ですから、前倒ししてでも早く返済を終わらせておきましょう。
その方が絶対に老後を安心して過ごすことができます。
まとめ
以上いかがでしたでしょうか?
老後破綻を避けることができるイメージが湧きましたでしょうか?
老後はまだまだ先のこと、という人の方が多いとは思いますが、必ずやってくることでもあります。
それまでにきちんとした準備が必要です。
生活を大きくしなければ、支出は小さくて済みます。
貯めておかなければならない老後資金についても、生活レベルをはじめから落としたままにしておけば、少ない老後資金で済むことになります。
老後破綻を避けるべき、今のうちからムダな支出を減らし、生活レベルを上げないよう心がけておきましょう。