セミリタイアは持ち家か賃貸、どちらにすべきか?
今日も有名FPさんのこちらの本から。
独身女性に向けた貯金に関する本なのですが、読んでいて、これは僕にも参考になると思いました。
それは、第2章『「おひとり」女子のマイホーム問題』。
これからの住まいについてどうするかが書かれている部分です。
これは、セミリタイアを目指す人たちにも同様の悩みを抱えているはずです。
他でもなく、僕もその一人。
持ち家にしろ、賃貸にしろ、どちらにしても今後の人生で最も大きなお金が動くことになります。
場合によっては、人生を左右しかねない決断ともなりかねません。
そこで今回は、セミリタイアは持ち家か賃貸、どちらがよいのかを考えていきたいと思います。
セミリタイアは持ち家か賃貸か?
持ち家を持つべきか、賃貸で済ませるか。
若いころは深く考えてこなかったのですが、40代も半ばに差し掛かると、さすがに真剣に考え始めます。
しかも、これまで考えてこなかったセミリタイアを急に検討し始めてからは、なおさらです。
なぜなら、セミリタイアをすると、いろいろな条件がこれまでとは大きく変わってくるからです。
まずは、仕事。
セミリタイアをするということは、現在の仕事を続けないということです。
よって、収入がなくなります。
ですから、賃貸にするなら、家賃ができるだけ安い物件を選ばなくてはなりません。
また、完全リタイアではなくセミリタイアをするわけですから、なにかしらの収入を得なければいけません。
最も多いのは投資で利益を得ていくと考える人なのでしょうが、中にはアルバイトか派遣で少し仕事をして、多少の収入を得ようと考えている場合もあるでしょう。
その場合は、自分が働くことのできる、やりたいと思える仕事がある地域でなければいけません。
そうなると、セミリタイアは持ち家か賃貸か、どちらにすべきか?という問いに対する答えは、こう答えざるを得ません。
「正解はない。その人の条件による」
結局、行きつくところはここになります。
人によって条件が異なりすぎますから、一概には言えません。
ちなみに、僕は個人的には持ち家の方がよいのではないかと考えています。
セミリタイアを賃貸にするメリット・デメリット
まずは、賃貸暮らしのメリットから見ていくことにしましょう。
1 賃貸のメリット
・何かあったら、気軽に別の場所に移動できる
・一生同じところに住まなくてもいい
物件というのは、実際に住んでみないと分からないことも多いですよね?
実際に歩てみたら、駅までの距離が遠い。
近所がうるさい。
変な人が住んでいる。
住み始めてみたら、結局不便だったので、引っ越したい。
そんなとき、もし持ち家だったら、一度買ってしまった以上、そう簡単に手放して引っ越すわけにはいきません。
我慢に我慢を重ねて、一生過ごさなければならない可能性もあります。
それにひきかえ、賃貸の場合は、上記したような問題が発生したら、また引っ越してしまえでいいわけです。
ですから、非常に気軽であるということが言えます。
また、若い頃に思っていた「良い家」が、年齢を重ねてからも「良い家」であり続けるとは限りません。
賃貸であれば、そのときどきの志向に合わせて、住む場所を変えていくことが可能です。
さらに、セミリタイア後の生活で、家賃が高すぎると判断する場面が出てくるかもしれません。
そうなったときにも、家賃のもっと安い物件に引っ越すことで、コストカットすることが可能となります。
この点が賃貸の大きなメリットです。
一方、賃貸暮らしのデメリットとしては、以下の点が挙げられます。
2 賃貸のデメリット
・いつまでも家賃を支払わなければならない
・高齢になると引っ越しがしにくくなる
やはり最大のデメリットは、家賃を支払い続けなければならないということです。
毎月数万円の家賃を支払い続け、同じ物件に住み続けるなら更新料を支払ったりすると、貯金の減るペースが圧倒的に速くなります。
セミリタイアをするということは、サラリーマン・OLのときには得られた給料は無くなっているはずです。
なにかしらの収入を得ながらのセミリタイア生活になるとは思いますが、毎月の家賃支払いはなかなかの負担になると思われます。
2つめのデメリットは、特に老後になると、賃貸契約がしにくくなるということです。
ただ、この点については、今後改善されていく可能性はあります。
野村総研が、2033年の空き家率は30%を超えるという調査結果を出しています。
そのため、この状況の改善が進み、高齢者でも賃貸物件を借りやすくなっているかもしれません。
それでも、今のところは、特に一人暮らしの高齢者だと物件を借りにくい状況にあるというのは頭に入れておいたほうがよいでしょう。
セミリタイアを持ち家にするメリット・デメリット
続いて、セミリタイアを持ち家にするメリットを見ていきましょう。
1 持ち家のメリット
・一生住むことのできる場所を確保することで、安心感を得られる
・ローン完済後は、出費を大きく減らすことができる
・持ち家は資産なので、いざとなったら転売・転貸することができる
まずは、何と言っても、一生する家を確保することで、安心感を得られるということです。
賃貸の場合は、どうしても住み続けたければ、契約を更新しなければなりません。
中には、高齢者との更新を嫌がる大家さんもいるようです。
また、持ち家を買う際にローンを組んでいた場合、支払いが完了すれば、一気にコストダウンすることができます。
支払い完了後に発生するコストは、せいぜい管理費や修繕積立金くらいでしょう。
そして、持ち家は売ったり、貸したりすることができるというのも賃貸にはないメリットです。
何らかの理由で引っ越すことになった場合、売るなり貸すなりして、お金に換えることが可能です。
一方、持ち家のデメリットとしては、以下の点が挙げられます。
2 持ち家のデメリット
・売りたい、貸したいとなったときに、思いどおりの値段がつかない場合がある
・つい身の丈に合わない物件を買ってしまい、ローン返済が苦しくなる
メリットの最後に、「売るなり貸すなりして、お金に換えることが可能です」とは書きましたが、確実に思い通りになるとは限りません。
そもそも、買った金額より高く売るというのは難しいでしょう。
家は年数の経過とともに劣化し、価値が下がっていくからです。
貸すにしても、都合よく入居者が現れるとは限りません。
人口が減少に転じていく今後の流れを考えると、なおさらです。
ですから、入居者を見つけるために、家賃を下げざるを得ないという状況になることもあるでしょう。
それから、ついつい予算よりも高い物件を買ってしまった場合、ローンの返済が苦しくなってしまうということが考えられます。
特にセミリタイアの場合、安定した定期収入を持たない可能性が高いため、高い物件を買うことは命取りになる危険性もあります。
あらかじめ予算を決めておいて、絶対にその範疇で収まるように家を買った方がよいでしょう。
また、セミリタイアを考える人であれば、一定の貯蓄がすでにあるはずです。
よって、住宅ローンを組むのではなく、現金一括で購入するという選択肢もありますし、むしろその方が現実的かもしれません。
ここまで、賃貸と持ち家のメリット・デメリットを見てきましたが、皆さんはどう考えますか?
セミリタイアで住む持ち家選びの注意点その1 予算を決めてその範囲内で買う
持ち家を買うにあたって、重要なポイントがあります。
① 事前に予算を決めること
② その予算を確実に守ること
セミリタイアをするとき、多くの人が「貯金がいくらになったらリタイアしよう」と考えているのではないでしょうか。
もし持ち家を買うのであれば、あらかじめ予算を決め、持ち家購入資金も含めて貯金を用意しておく必要があります。
持ち家購入額を用意し忘れれば、一気にセミリタイアを失敗する確率が高まります。
必ず持ち家分も含めて、貯金をしていきましょう。
そして、現金一括で購入することを検討しましょう。
住宅ローンを組むのは危険です。
定期収入がなくなりますから、支払いが困難になるかもしれません。
そもそも無職になってしまっては、住宅ローンを組むことすら難しくなります。
ですから、安い物件で構わないので、現金一括で購入するという考え方の方がよいでしょう。
そして、物件を探す際には、必ずあらかじめ決めた予算の範囲内の物件にすることです。
これも貯金がショートしてしまい、セミリタイア失敗につながる危険性が出てきます。
あと、気をつけなければいけないのは、不動産を買う際には土地建物とは別にさまざまな諸費用が発生します。
仲介手数料、印紙税など、実に様々です。
これら諸費用は、基本的に現金で用意する必要があります。
諸費用の目安は、新築物件で物件価格の3~7%、中古物件で6~10%と言われています。
例えば、予算1000万円で、1000万円の物件を購入しようという場合、諸費用込みだと1100万円になる可能性があります。
ですから、予算が1000万円なのであれば、実際には物件の価格は900万円までと考えなければならないということになります。
セミリタイアで住む持ち家選びの注意点その2 中古物件を買う
予算を決めたら、次は実際に物件を選ぶことになります。
セミリタイアで、しかも現金一括で持ち家を買おうとなると、さすがに新築物件は高いです。
単純に価格で比べれば、新築物件よりも中古物件の方が圧倒的に選択肢が広がります。
もちろん、安すぎるのも問題です。
例えば、築年数が古すぎること。
あまりに古すぎると、東日本大震災のような大地震に耐えうるかどうかといった点が心配になってきます。
そこで1つの目安として、1981年6月1日以降の新耐震基準であることがどうかをチェックするのもよいでしょう。
また、築年数は、今後あと何年その家に住むのか、ということとセットで考える必要もあります。
築50年の家に50年住むとしたら、高齢になったとき、物件の老朽化が心配になります。
セミリタイアが実家でできる人は恵まれている
賃貸か持ち家か、どちらにすればよいのかを考える必要がなく、恵まれた状況にあるのが、実家を継ぐことのできる人です。
現在すでに実家に住んでいる、あるいは現在住んでいる場所の近くに実家があるという人であれば、実家に住むというのが最もコストのかけない住まいを手に入れる方法です。
これが例えば僕のようのに、実家がド田舎となると、特に高齢になってから一人暮らしをするには不便なため、セミリタイア後の住まいとするのは現実的ではありません。
もし実家に住むことに抵抗がないのであれば、できる限り実家を利用するのがよいでしょう。
自分が家を相続できるのであれば、なおさらです。
相続した時点で持ち家を手に入れることができるわけですから、住まいに関して悩む必要はなくなります。
一人っ子ならラッキー。
家を相続できる可能性は高いです。
兄弟がいる場合は、注意が必要です。
実家に住んでいたからといって、無条件に相続できるわけではありません。
また、相続するとなれば、家だけではない可能性が高いです。
相続といえば、相続税。
相続税は、家や土地、金融資産などの相続する対象となる資産の合計額に対してかかってきます。
実際のところ、相続税を申告する必要がある人は、およそ8%と言われています。
相続税には「基礎控除額」という考え方があり、相続の対象となる資産の合計額が「基礎控除額」を超えたときに相続税を支払う必要があります。
「基礎控除額」は、「3000万円+(相続人の人数×600万円)」という式で計算します。
例えば相続人が3人であれば、3000万円+(3×600万円)で4800万円ということになります。
さらに、家を相続すると、新たなコストとして固定資産税が発生します。
これはご両親に現在の固定資産税の金額を聞いておけばよいでしょう。
将来的に発生するコストをあらかじめ把握しておくことができます。
最後に、家が古くなってきたりすれば、修繕費がかかります。
あまりに古すぎる家の場合、改築したりしなければならないなんてことも起きかねませんので、実家を相続する場合のリスクもあらかじめ考えておく必要があります。
まとめ
以上いかがでしたでしょうか?
セミリタイア後の住まいは、賃貸にするか持ち家にするか、考えはまとまりましたでしょうか?
セミリタイアであれば、持ち家の方が有利のように思えますが、安くて良い物件があるのであれば、賃貸でもよいでしょう。
将来の自分の人生プランをどのように考えるかによって、賃貸にするか持ち家にするかが変わってくるかもしれません。
持ち家を手に入れたい場合、人生で最も大きな買い物になる可能性が高いです。
だからこそ、よりよい家を手に入れたいという気持ちになるのも理解できます。
最もよい選択ができるよう、自分の今後の資産とも相談してみてください。