老後貯蓄の平均と必要額は?そして老後貯蓄を貯める3つの方法
『老後貯蓄いくらあれば安心できるのか 必ず知っておきたい税制メリットのある制度とコツ』という記事を読みました。
老後の貯蓄については、ある一定年齢を超えたら、気にならない人はほとんどいないのではないでしょうか。
やはり自分の老後のことは気になります。
特に気になるのはお金について。
仕事を定年退職するのは60歳から65歳。
平均寿命は最新データによれば、女性が87.26歳、男性が81.09歳。
定年退職してから20年前後は生きることになることが予想されます。
また、今後は平均寿命がさらに伸びていくことも考えられます。
「人生100年時代」とも呼ばれ始めていますから、100歳まで生きることも想定しておかなければいけません。
そうなると、老後のお金は一体いくら必要になるのでしょうか?
老後貯蓄の必要額はいくら?
老後貯蓄が一体いくら必要になるのか?
これについて今回紹介した記事の中に、次のような記述があります。
総務省による「家計調査報告(家計収支編)平成29年(2017年)」では、年齢層別の消費支出のデータを公開しています。二人以上の世帯の消費支出のうち、60から69歳では約29万円、70歳以上では約23万円となっています。
ということは、もし60歳で定年退職を迎え、万が一100歳まで生きるとしたらどうなるか計算してみましょう。
29万円×12ヶ月×10年+23万×12ヶ月×30年=1億1520万円
なんとびっくり!
衝撃的な金額になりました。
もちろん、夫婦そろって100歳まで生きるというのは、かなりのレアケースだと思いますので、さすがにここまで必要だとは正直思いません。
ただ、ネットで老後の貯蓄がいくら必要かという記事で、1億円という金額を挙げているものがありますが、この計算結果を見ると、あながち外れていないことが分かります。
ここで注意しなければいけないことは、定年退職後の老後にも年金という収入があることを忘れてはいけません。
直近で年金の平均支給額は夫婦二人合わせて約23万円と言われています。
年金を65歳から受給開始したとすると、100歳まで生きるとしたら合計でいくら受け取ることができるのか計算してみましょう。
23万円×12ヶ月×35年=9660万円
あら?
ということは、老後資金として必要になる金額がだいぶ変わってきます。
1億1520万円-9660万円=1820万円
ここで忘れてはいけないのは、年金の支給が始まる60歳から65歳までの5年間の生活費です。
1ヶ月の生活費は先ほどの60代の平均である29万円で計算してみましょう。
29万円×12ヶ月×5年=1740万円
ということは、老後貯蓄の必要額は分かりましたね?
1820万円+1740万円=3560万円
よく「老後資金は3000万円必要」とする記事がありますが、このような計算をしています。
結婚している人であれば、一つの目安が3560万円の老後貯蓄を目標とすべきということになります。
では、単身世帯の場合はどうなるか?
先に登場した「家計調査報告(家計収支編)平成29年(2017年)」では、60歳以上の平均支出額は約15万円と発表されています。
また、年金の支給額は、単身世帯の場合だと約15万円とされています。
ということは、60歳で定年退職を迎え、100歳まで生きるとすると、必要となる老後貯蓄額は1800万円となります。
ただし。
この金額は鵜呑みにしてはいけません。
なぜなら、生活費は人によって異なりますし、年金の支給額も人によって異なるからです。
ですから、老後貯蓄額がどれだけ必要かというのは、ネットや本などで流れている情報をそのまま受け取るのではなく、自分に置き換えて考える必要があります。
例えば、定年退職が65歳なら先ほどの計算式とは異なりますから、必要な貯蓄額はもっと少なくて済みます。
1ヶ月の生活費をもっと節約できれば、必要な老後貯蓄額はもっと少なくなります。
受け取ることのできる年金額がもっと多ければ、必要な老後貯蓄額はもっと少なくなります。
老後の資金を計算する上で、自分が将来いくら年金を受け取ることができるのかを知りたいという人は、「ねんきんネット」を活用してみましょう。
予測も含めて、年金額を算出することが可能となっています。
ただし、気をつけなければならないのは、将来的に年金の支給額は減額されることが予想されることと、支給開始年齢が引き上げられる可能性があるということです。
少子高齢化が進む中、現行の年金制度はこのままでは成立し続けるわけもありません。
したがって、年金の減額・支給開始の引き上げは覚悟しておくべきです。
それを見越した老後貯蓄額を計算しておかなければいけないので、将来の見通しが立てづらい状況にあるのです。
では、実際のところ、本当に3000万円もの老後貯蓄を貯めることはできるのでしょうか?
そこで、貯蓄の実態について知っておきましょう。
老後貯蓄の平均はどれくらい?
人はどれだけの金額を貯蓄しているのか?
これについては、「家計の金融行動に関する世論調査」がよく知られていますので、ここから数字を持ってきました。
年代別の平均貯蓄額は、以下のとおりです。
20代 524万円
30代 735万円
40代 1,014万円
50代 1,689万円
60代 2,062万円
70代以上 2,512万円
3000万円以上に到達している年代はありません。
そもそも、金融資産を3000万円以上保有するアッパーマス層以上の人たちは、約20%しかいません。
老後貯蓄を3000万円貯めるということは、至難の業であるということを理解しておく必要があります。
逆に、3000万円に到達すれば、それはマス層からの脱却を果たしたということで、大いに喜ぶべきでしょう。
それでは、今から老後貯蓄を貯めるにはどうしたらよいのか?
今回は紹介した記事に従い、「増やす」ということにポイントを絞り、その方法を3つご紹介します。
老後貯蓄を貯める方法その1 先取り貯蓄
貯蓄の定番中の定番の手法。
財形貯蓄制度を利用して給料から天引きをしたり、給料が振り込まれたら一定額を自動的に定期積立の口座に移動するようにして、給料を手にする前に貯金してしまうという方法です。
特に貯蓄が苦手という人には、この半強制的に貯蓄をせざるを得ず、引き出すこともままならなくなるため、非常に効果的です。
まずは先取り貯蓄で、貯蓄ぐせをつけるというところから始めてみるとよいでしょう。
老後貯蓄を貯める方法その2 iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCo(個人型確定初出年金)とは、公的年金とは別に、自分で老後に受け取る年金を作る私的年金のことです。
公的年金とは異なり、加入は任意です。
自分で掛け金を一定の範囲の中から決めることができ、自分で運用する方法を選び、60歳以降になったら受け取ることができるようになります。
「60歳以降になったら受け取ることができる」ということは、裏を返せば60歳になるまで引き出すことができないということです。
また、運用ですから選んだ投資信託の状況や市場・経済の動向によっては、掛け金が元本割れを起こす可能性があります。
一方で、iDeCo最大のメリットは、税制面での優遇です。
まず、iDeCoで積み立てる掛金は、その全額が所得控除の対象となります。
拠出した掛け金の年間の総額を所得から差し引けるため、その分の所得税と住民税が軽減されます。
したがって、iDeCoで積立をしている間は、ずっと控除の恩恵を受けることになり、大きな節税効果が期待できます。
次に、運用時の運用益が非課税になるということです。
通常、預貯金の利息や投資信託の運用益には約20%の税金が課税されています。
しかし、iDeCoの運用益は一切課税されないこととなっています。
したがって、運用益をさらなる投資に回すことが可能です。
そして、受取時も非課税となります。
年金として分割で受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金としてまとめて受け取る場合は「退職所得控除」が適用されます。
もちろん運用ですから、各種手数料は発生します。
メリットとデメリットを天秤にかければ、個人的にはメリットの方が大きいのではないかと思います。
手続きが面倒で時間がかかりますから、開始してみたい・興味があると思ったら、まずは金融機関に資料を請求してみるとよいでしょう。
老後貯蓄を貯める方法その3 収入を増やす
最後は、根本的なことで、そもそもの給料を中心とした収入を増やすということを考えてみてはいかがでしょうか?
本業の給料が増えないと嘆いている人も多いとは思いますが、増えている人だっています。
そこには仕事に対する取り組み方や出している結果に明確な違いがあるはずです。
とことんまで突き詰めてお客様に貢献し、会社に貢献すれば給料は増えるはずです。
もし増えないのであれば、転職すべきです。
また、副業という手もあります。
これは会社の就業規則もありますので、きちんと下調べした上で着手しましょう。
ただし、本業に支障をきたすことのないようにだけ注意してください。
まとめ
以上、「老後貯蓄の平均と必要額は?そして老後貯蓄を貯める3つの方法」でした。
老後貯蓄額がどれだけ必要か、そしてどのように貯蓄していけばいいのか、具体的な処方箋は見つかりましたでしょうか?
対策は、少しでも早く動き始めた方が有利です。
特に貯蓄となれば、少しでも早く貯め始めた方が、将来的に貯まる金額は多くなります。
結局のところ、老後の不安を払拭するためには、国の制度変更を待っているようでは遅すぎます。
となれば、自分の身は自分で守るしかありません。
これまでの自分のお金の使い方を見直し、そして改め、老後に必要な貯蓄額を貯めるための第一歩を踏み出してみましょう。