「65歳で年金17万円」の60歳定年サラリーマンが恐怖する理由
どうも。『毎日が祝日。』いわいです。
今日はネットで見かけたこちらの記事から。
煽り系メディア「資産形成ゴールドオンライン」からです。
「統計から紐解く日本の実情」という連載の中の1記事をご紹介します。
当ブログでもたびたび紹介していますが、今回は老後資金について。
ただ、今まであまり触れてこなかったものがあることに気づき、今回の記事をご紹介することにしました。
60歳定年サラリーマンの恐怖とは?
あなたは自分の会社が何歳で定年退職を迎えるか把握していますか?
厚生労働省『令和4年就労条件総合調査』によると、定年制の年齢は以下のような調査結果となりました。
60歳定年 | 72.3% |
61~65歳定年 | 23.7% |
66歳以上 | 3.5% |
現在65歳へ定年を引き上げることが推奨されていますが、まだまだ60歳定年制が圧倒的多数を占めることが分かります。
ただ、高齢者雇用に関する制度は改正されてきています。
2013年4月に「高年齢者雇用安定法」が改正され、希望者は原則65歳まで継続して働けるようになりました。
「65歳までの高年齢者雇用確保措置を実施済み」の企業は99.9%に至っています。
またさらなる法改正で、70歳までの就業機会の確保が努力義務となり、70歳以上まで働ける制度のある企業は39.1%まで増加しています。
よって長きに渡り働き続けたいと希望する人にとっては環境が整いつつあるのです。
しかし一方で「早く引退したい」と考える人もいるでしょう。
そんな人にとって、例えば60歳で引退するとなると非常に大きな問題が生じるのも事実です。
それは「年金の受給開始が65歳であること」です。
つまり5年間もの間、無収入に陥る可能性があるのです。
5年間を生き延びるのに必要な金額は?
この5年間をいかに埋めるかが老後を乗り切るうえでカギになります。
ちなみに総務省『家計調査 家計収支編』(2022年)によると、世帯主が60歳以上の世帯の二人以上世帯と単身世帯での1ヶ月の支出が紹介されておりました。
これを5年間で計算すると以下のようになります。
二人以上世帯 | 単身世帯 | |
1ヶ月の支出 | 25万9,912円 | 15万409円 |
1年の支出 | 311万8,944円 | 180万4,908円 |
5年の支出 | 1559万4,720円 | 902万4,540円 |
5年間の支出となると二人以上世帯で1559万円、単身世帯でも902万円となりました。
はたして60歳を迎えた時点で最低でも上記の金額を用意できているかどうかです。
それに加えて、65歳以降に年金を受給開始しても、年金の範囲内で生活できなければ貯金を取り崩さなければいけません。
よって、長い老後を乗り切るには上記の金額以上の金額を用意しておく必要があります。
「年金の繰り上げ受給」という選択肢はあるか?
そこで今回の記事で紹介されているのが「年金の繰り上げ受給」です。
これまで年金を増額する「繰り下げ受給」については当ブログでもたびたび取り上げてきましたが、繰り上げ受給をちゃんと取り上げることはありませんでした。
私が繰り上げ受給派デメリットしかないと感じていたからです。
年金の繰り上げ受給は原則65歳からの受給となっている老齢基礎・厚生年金を、60歳から65歳になるまでの間に早めて受け取れるという制度です。
最大の注意点は、1ヵ月繰り上げるごとに年金額が0.4%減額されることです。
もし65歳からの年金受取額が平均の16.9万円(厚生年金受給権者・男性)だったとして、繰り上げ受給すると実際にどれだけ年金が減額されるかを計算してみました。
1ヶ月の年金受取額 | 1ヶ月の減額 | |
65歳0ヵ月 | 16万9,000円 | – |
64歳0ヵ月 | 16万0,888円 | 8,112円 |
63歳0ヵ月 | 15万2,776円 | 1万6,224円 |
62歳0ヵ月 | 14万4,664円 | 2万4,336円 |
61歳0ヵ月 | 13万9,552円 | 3万2,448円 |
60歳0ヵ月 | 12万8,440円 | 4万0,560円 |
0.4%の減額も5年・60ヶ月ともなれば24%の減額です。
上記の例であれば4万円も少なくなりました。
65歳以降も物価の上昇は起こる可能性が高いですから、年金額を減らすことについて得策ではないと私は考えています。
また「年金の繰り上げ受給」は以下の注意点があります。
・老齢基礎年金と老齢厚生年金は同時に繰上げ請求をする必要があある
・減額された年金額は生涯続く
・繰上げ請求後は取り消すことはできない
・繰上げ請求すると、国民年金の任意加入や保険料の追納はできない
・繰上げ請求後は国民年金の寡婦年金は支給されない
60歳から65歳をいかに乗り切るかを考えた場合、資産を減らしたくないのであれば素直に働くのが一番良いように思います。
働きたくないのであれば資産形成して、配当収入や家賃収入などの投資益が得られるの仕組みを作っておくべきでしょう。
まとめ
以上『「65歳で年金17万円」の60歳定年サラリーマンが恐怖する理由』でした。
いかがでしたか?
定年退職が何歳か、あるいは何歳まで働くかは年金を受け取るまでの間をいかに乗り切るかという課題があることがお分かりいただけましたでしょうか。
まだ30代以下の人たちであれば、年金の受け取り開始年齢が65歳よりさらに引き上げられ67歳から70歳になることも十分考えられます。
そうなればさらなる対策が必須。
老後をいかに乗り切るかは若い人ほど無視できない問題になりつつあるのです。
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