日本の未来は「格差社会」ではない。向かうのは「一億総貧困」
どうも。『毎日が祝日。』いわいです。
今日はネットで見かけたこちらの記事から。
読売新聞がおこなった日本の経済格差に対するアンケート結果です。
経済格差が「深刻」と考える人が88%
今回の調査は1月25日から2月28日、全国の有権者3000人を対象に行い、2184人が回答しました。(回答率73%)。
その結果、日本の経済格差について全体として「深刻だ」と回答した人は、「ある程度」を含めて88%にも上りました。
一方で「深刻ではない」は11%でした。
特に深刻だと考えられているのは「職業や職種による格差」と「正規雇用と非正規雇用の格差」で、それぞれ84%でした。
私の意見は11%のほう、つまり「深刻ではない」という立場です。
岸田首相が「格差が拡大した」と主張してきたから「深刻」だと回答した人や、自分の生活がラクではないことから「格差」が「深刻」と回答した人も多いのではないかと考えます。
ここで重要になるのは「格差は本当に深刻なのか?」という点です。
「格差社会」というより「一億総貧困社会」
格差の指標とされるジニ係数の推移を日本とアメリカで比較してみます。
するとアメリカがどんどんジニ係数が大きくなる、すなわち格差が拡大しているのに対し、日本のグラフは2000年をピークに停滞していることが分かります。
データは2013年までしかないため直近の状況が掴めませんが、アメリカほど格差が拡大したわけではなさそうです。
そもそも資本主義経済である以上、格差が生じるのは当然です。
日本が格差社会であることは否定しませんが、そこまで深刻だとは思わないのが私の立場です。
むしろ問題は別のところにあると思っています。
それは所得の減少です。
下のグラフは1998年と2018年の所得階級別世帯数の相対度数分布を比較したグラフです。
1998年の平均所得金額が655万円なのに対し、2018年の平均所得金額は552万円で100万円減っています。
中央値で比較しても1998年の544万円に対し、2018年は437万円でやはり100万円減っています。
つまり「格差が拡大した」のではなく「国全体が沈んでいる」という表現のほうが実態に近いのではないかと考えています。
1998年の青い棒グラフは年収500万円以上から赤い棒グラフよりずっと高く、年収400万円以下になると2018年の赤い棒グラフのほうがずっと高いことからも分かります。
低所得者層の割合が20年前を比較して高くなっています。
私が抱く「格差社会」のイメージは、所得の高い層の人たちがさらに裕福になっていき、格差が広がっていくものです。
それに対して今の日本は中流以下の世帯が沈んでいくイメージです。
だから「格差の拡大」と言われても実態にそぐわないのではないかと考えています。
格差社会の解決策が「金融課税強化」は正しいのか?
また格差縮小のための対策も考え方によって変わってきます。
アンケートの結果としては以下のようになり、「賃金の底上げ」が1位となりました。
私は格差社会の解決ならば、先ほど主張したように、格差の原因は裕福な層の側だと考えていますから、「課税強化」のほうが第一の解決策だと考えています。
所得税は現在最高税率45%ですが以前は70%だった時代もありました。
だから富の再分配を考えるのであれば、真っ先に挙げられるべきは所得税の累進課税強化ではないかと思いました。
しかし岸田内閣は金融課税強化を念頭に掲げています。
近年は「貯蓄から投資へ」の流れに沿って、投資を始める人も増えています。
投資により資産が増えていく人に対し税金をかけてやろうということですが、これではたして富が再分配されるかと言われると疑問です。
なぜなら投資をしている人たち全て税率がアップするわけですから、これは消費税のように全国民対象を対象とする施策だからです。
ですから格差是正のための政策としては不適切であると考えています。
格差の原因が「正規・非正規雇用」にあるとなれば派遣社員の制度を改革したり、「低所得」にあるのであれば企業が給与をアップしたくなるような施策を立案するといった対策が本来あるべき姿なのではないかと思います。
少ない稼ぎからなんとかお金を捻出し、投資に回しても税率強化で資産が増えるチャンスすら奪われるとなれば、格差の解消など夢のまた夢と言わざるを得ません。
まとめ
以上『日本の未来は「格差社会」ではない。向かうのは「一億総貧困」』でした。
いかがでしたか?
格差は無いとは言いませんが、格差の生じ方が従来の格差とは異なるのが今の日本です。
没落していく中間層を救うことはもちろん重要です。
しかしそれ以上に重要なのは結局「人口減少対策」なのかなとも記事を書きながらふと思いました。
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