老後2000万円問題の後遺症。人々を呪縛する2000万円という金額
どうも。『毎日が祝日。』いわいです。
今日はネットで見かけたこちらの記事から。
マネックス証券のメディア「マネクリ」に掲載された老後資金2000万円問題についての記事です。
2019年に降ってわいたように登場した「老後資金2000万円問題」。
これまでお金の問題に無関心だった層に与えた影響は大きかったようです。
ではどのような影響を与えたのか、記事の中身を見ていきましょう。
6割が「老後2000万円問題」を内容まで理解
今回の記事は、フィンウェル研究所というところが毎年行っているアンケート調査「60代6000人の声」の2023年調査を元にしています。
アンケート対象は60代。
まさに老後資金問題のど真ん中と言える世代です。
そんな60代の「老後資金2000万円問題」の認識度はどの程度なのでしょうか?
その結果は意外なものでした。
実は「老後資金2000万円問題」を聞いたことはあるが、意味はよく分からない人が35%もいました。
聞いたことはないという信じられない回答をする人も7%。
よって「老後資金2000万円問題」をよく理解していない人が42%も占めることが分かりました。
これは意外な結果でした。
しかし、各回答者の保有資産を調べてみると、なんとなくこの結果になった理由も頷けます。
「議論の内容をわかっている」と回答した人の世帯保有資産平均は2871.3万円。
「意味はよく分からない」と回答した人は1536.8万円。
「聞いたことはない」と回答した人は1216.3万円でした。
要するに、資産を保有している人ほど関心の高い話題であったことが伺えます。
やはりお金を多く持っている人ほどお金に対する興味関心が高いようです。
貯蓄が少ないと嘆いている人は、まずお金の話題に対する興味関心を高める必要があるかもしれません。
保有資産の多い層が総じて老後不安が強め?
次の図表も興味深い調査結果です。
「老後資金2000万円」をどう評価しているかを、先の質問で「聞いたことはない」と回答した人以外の6050人に聞いています。
その結果がこちら。
「年金以外に老後の生活に必要な資金として2000万円では足りないと思う」と回答した人の世帯保有資産平均が3611.3万円。
「2000万円くらい必要だと思う」と回答した人は2485.2万円。
「2000万円も必要ないと思う」と回答した人の世帯保有資産平均は1765.0万円。
なぜ資産を多く貯めているかを考える上で老後不安の大小が影響を与えているかのような結果となっていました。
貯蓄が少ない人はお金に対する不安が小さいから、お金を貯めようとしないのでしょう。
また「老後2000万円問題をきっかけに老後の資金を考えることができた」と回答した人は資産平均が2326.8万円と、やはり資産が多めです。
総じて「資産が多い人ほど、お金のことを真剣に考えている傾向が強め」なのかもしれません。
資産額2000万円が60代にとっての分岐点になった
最後に3つめの調査では、生活全般の満足度や資産水準に対する満足度について5段階で聞いています。
その結果と保有資産額、2000万円問題の認知度との関係をまとめたのが次のグラフです。
このグラフから分かることは以下の3点であると書かれていましたので引用します。
①ほぼすべての世帯保有資産額帯で生活全般の満足度の方が資産水準の満足度を上回る
②世帯保有資産額が増えると、どちらの満足度も上昇する
③ただし世帯保有資産2000万円くらい以下のところでは資産額の上昇に対する満足度の上昇は大きいが、それを超えるとその傾きが緩やかになる(2000万円あたりのところで凸型)
このグラフを見ると分かりますが、保有資産額2000万円を境にグラフが緩やかになっています。
これは資産額が2000万円以上になると満足度が上がりにくくなっていることを意味しています。
この調査結果から思ったことは、2000万円が人々にとって老後資金の一つの目安になったのではないかということです。
「老後資金2000万円問題」は非常に大きな影響を与え、多くの人に「2000万円くらい持ってないといけない」との認識を植え付けた点では一定の評価ができると言えます。
しかし一方で、本当に必要な資産額は人によって異なるため、実際には自分で計算して必要な老後資金を算出すべきです。
よって、何も考えずに「2000万円必要」と考える層を生み出してしまった可能性もあります。
その意味では「老後資金2000万円問題」の功罪の「罪」の部分も極めて大きかったと言えるのかもしれません。
まとめ
以上『老後2000万円問題の後遺症。人々を呪縛する2000万円という金額』でした。
いかがでしたか?
「老後資金2000万円問題」は人のお金に対する向き合い方によって、その捉え方にも差異が存在していることが分かりました。
お金に対する真剣度が資産額にも影響しているとの仮説も浮かび上がってきました。
改めて思うことは、老後資金問題というのは老後に限らず、普段からのお金の向き合い方の問題なのだということです。
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