年金を繰上げ受給して月12万円受け取る男が後悔する理由とは?

年金を繰上げ受給して月12万円受け取る男が後悔する理由とは?

どうも。『毎日が祝日。』いわいです。

今日はネットで見かけたこちらの記事から。

以前当ブログで取り上げてから間隔が開きましたが、久しぶりの煽り系メディア「幻冬舎ゴールドオンライン」からです。

とある男性が年金の「繰上げ受給」を選択したことを後悔しているそうです。

一体何があったのでしょうか?

記事の中身を見ていきましょう。

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無収入の空白期間を埋める「年金の繰上げ受給」

まずは「年金の繰上げ受給」についてのおさらいです。

公的年金の受給開始は原則65歳です。

一方で多くの企業の定年は60歳となっています。

60歳で定年を迎えてそのまま現役引退すると、年金受給開始までの5年間は無収入となります。

この年金受給までの収入の空白期間を埋める一つの方法が「年金の繰上げ受給」です。

「繰上げ受給」は原則として65歳から受け取れる年金を、希望すれば60歳から65歳になるまでの間に繰り上げて受け取れる制度です。

ただし注意点として押さえておかなければならないのは、繰上げ受給の請求をした時点に応じて年金が減額され、その減額率が一生変わらないことです。

年金の繰上げ受給シミュレーション

年金の繰上げ受給は1ヶ月単位で可能となっています。

繰上げにより減額される年金は1ヶ月ごとに0.4%です。

ここで簡単なシミュレーションをご紹介します。

厚生労働省『令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、65歳以上受給権者の男性の年金受け取り額の平均は16万7,388円でした。

年金を繰上げ受給すると、それぞれキリよく1年ずつ繰り上げるといくらになるかを下の表にまとめてみました。

1ヶ月の年金受取額減額率1ヶ月の減額
65歳0ヵ月16万7,388円
64歳0ヵ月15万9,353円4.8%8,035円
63歳0ヵ月15万1,318円9.6%1万6,070円
62歳0ヵ月14万3,284円14.4%2万4,104円
61歳0ヵ月13万5,249円19.2%3万2,139円
60歳0ヵ月12万7,214円24.0%4万0,174円

16万7,388円を基準とした場合、60歳で受給開始すると24%減、金額では4万円も減少することが分かります。

男は「年金を繰り上げたほうが得する」は本当か?

「年金、早くもらうほうが得か、遅くもらうほうが得か」の議論はよく行われています。

当ブログでも過去に何度か取り上げたことがあります。

そして年金の受給に関して、「男の平均寿命から考えると、年金は早く受け取ったほうが得」という意見があるそうです。

はたして本当でしょうか?

記事では3つの側面から年金繰上げ受給はお得なのかを検証しています。

1.平均寿命で考えた場合

まずは単純に平均寿命から繰上げ受給が得なのかを考えてみましょう。

65歳での受給額を100とするとし、5年早く受け取ることで24%減額となることを換算すると、100✕5年÷24%=20.83333(年)。

つまり60歳から20年10ヵ月ほどあと、80歳10ヵ月以降は、65歳で年金を受け取った場合の総支給額のほうが多くなります。

ただしこれは額面で考えた場合。

手取りで考えた場合の損益分岐点は、60歳で受給開始であれば82歳2ヵ月。

男性の平均寿命を超えているので「年金の繰上げ受給」のほうがお得に感じられます。

なるほど、平均寿命で考えると損益分岐となる年齢までに死ぬ可能性があるから繰上げ受給のほうがお得になりそうです。

2.生存率で考えた場合

記事では単純に平均寿命のみならず、「生存率」でも考えています。

男性が80歳まで生きられる確率=生存率は55.3%。81歳で51.8%、82歳が48.2%。

平均寿命で考えた場合と若干のずれがあり、60歳で年金を受け取るのが得か損か、ギリギリのラインといったところでしょうか。

生存率だと五分五分のようです。

ただ、五分五分の時点で個人的にはかなり怪しい気がします。

3.平均余命で考えた場合

さらにある年齢で平均何年生きられるかという「平均余命」でも考えています。

60歳時点での男性の平均余命は23.59歳。

つまり、60歳男性は平均してあと23年ほど、83歳までは生きられるということです。

記事ではここまでを見て、60歳から年金を受け取り始めた定年サラリーマンは、結果的に損をする可能性が高いと結論づけています。

年金受け取りで本当に気にするべきこと

私個人としては、繰上げ受給には反対です。

そもそも、年金をトータルでいくらもらえるかどうかの損得勘定をしていません。

私が重要視しているのは「死ぬまでに資産が枯渇しないかどうか」の1点のみ。

すなわち、単月で赤字にならないためにはいくらもらえばよいか、資産の取り崩しを最小限度にとどめるには毎月いくらもらえばよいか、です。

生涯合計で年金をいくらもらえるかは結果論にすぎません。

寿命なんて誰にも分からないのですから。

大切なのは「後悔しない決断をすること」に尽きると思います。

年金を受け取るまでの期間をいかに埋めるか?

年金の繰上げ受給が議論される最大の原因は、定年が60歳なら年金受給開始年齢である65歳まで5年間も空白の期間が生じるからです。

ですから、年金の繰上げ受給を検討する前に、どうやって5年間を乗り切るかを考えるべきです。

方法はいくつかあるでしょう。

1.フルタイム勤務を続ける
2.フルタイム勤務は辞め、バイト・パートタイムで働く
3.個人事業主として独立する
4.貯金を取り崩す
5.年金を繰上げ受給する

何らかの形で収入を得るか、定年までに資産を貯め、その資産で乗り切る方法です。

結局、各世帯による事情がいろいろとあるはずなので、各自で最適と思う方法を判断すべきです。

あとは、選択肢を複数持てるようスキルアップや人脈の構築、資産形成などに取り組んでおくべきでしょう。

まとめ

以上『年金を繰上げ受給して月12万円受け取る男が後悔する理由とは?』でした。

いかがでしたか?

年金を繰上げ受給するか、繰下げ受給するか、65歳から受給するか、といった議論は年金受給開始が目前に控えている人でないならば、一旦無視してよいと思っています。

なぜなら、年金の受給開始年齢が引き上げられる可能性があるからです。

個人的には今の若い人は70歳からになると思って準備を進めておくべき、くらいに考えています。

以下関連記事です。

老後を迎えるにあたり、お金は困らない程度に持っておけば十分との考えに辿り着けるとよいでしょう。

いくらゆとりある老後にしたいからと言っても、年金を30万円ももらえる人はそういません。

「ずっと投資を避けている人」は老後になって「投資しておけばよかった」と後悔することになるかもしれません。

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